Ｘ　ーｔｈｅ　ａｎｏｔｈｅｒ　ｓｔｏｒｙー

「絶対に」
「宜しく頼むな」
「そのうえで戦うことですね」
「そうしてくれ」
「封真の言う通りだ、死ぬなよ」
　草薙も哪吒にこの言葉を言った。
「絶対にな」
「戦ってもですね」
「勝てばそれでいいがな」
「命は大事にして」
「そしてな」
「危うくなればですね」
「逃げてくれ、俺達も呼んでな」
「そうさせてもらいます」　
　哪吒は草薙にも頷いて答えた、そうしてだった。
　地の龍の三人はそれぞれの戦場に向かった、天の龍の三人はそれぞれ別の場所にいたが草薙は神威の前に出てだ。
　そのうえでだ、こう言ったのだった。
「悪く思わないでくれよ」
「何があってもか」
「殺すつもりはないけれどな」　
　空手の構えを取りつつ言った。
「お互い全力でやらないとな」
「それが戦いだからな」
「手加減は出来ないからな」
「それは俺も同じだ、しかし」
　神威もまた構えを取りつつ言った。
「地の龍に悪い奴はいないが」
「俺もか」
「あんたはその中でも特にな」
　その地の龍達の中でもというのだ。
「特にな」
「いい奴か」
「そう思う、目にあるものが優しい」
　草薙のその目を見て言った。
「その目を見てるとな」
「俺がどういった奴がわかるか」
「そのつもりだ」
「そうか、それで頼みがあるんだが」
　ここでだ、草薙は神威にこうも言った。
「俺が地の龍であることはそっちの嬢ちゃんには内緒にしてくれるか」
「護刃か」
「ああ、そういう名前だったか」
「あの娘には俺のことはな」
「言わないでくれというのだな」
「そのことは頼めるか」
「そんなことを言って何になる」
　これが神威の返事だった。
「一体」
「言わないってことか」
「一切な」
　また返事をした。
「安心してくれ」
「そうか、あんた俺をいい奴だと言ってくれたが」
「俺もか」
「そう思った」
　神威に構えを取ったまま微笑んで告げた。
「心からな」
「そうか、そう言って貰えるとな」
「嬉しいか」
「俺もな、そして今からな」
「お互いにな」
「戦おう」
　こう話してだった。
　神威と草薙は戦闘に入った、時計台に近い別の場所では火煉が哪吒と対していたが彼を見てだった。
　火煉は嬉しそうに微笑んだ、そしてこんなことを言った。
「落ち着いている顔ね」
「僕はですか」
「ええ、満たされてる様な」
　そうしたというのだ。
「いい顔をしているわ」
「そうですか」
「貴方いい場所にいるのね」
「はい」
　哪吒も否定しなかった。