FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
エルザvsバッカス
前書き
体調不良で逝ってたためかなりギリギリでの更新です。
でも40度まで熱出たのにコロナでもインフルでもないのは納得できない|ョω・`)イチョウエンデス
レオンside
『続きまして第二試合!!蛇姫の鱗vs青い天馬の試合を行います!!』
次の試合は俺たち。まぁ、うちからは出るメンバーが決まってるから問題はないんだけど。
「頑張ってね、リオン」
「そろそろ巻き返しましょう!!」
完全に出遅れているためここはリオンくんを投入。本当は俺も出たかったけど、明日以降に与えられた役割が来る可能性を考えると、ここは貴重な参加権利を使用する場面じゃない。
「天馬からはイヴさんか」
「運がいいな、リオンは」
「オオーン」
青い天馬からの参加者はイヴさん。氷の造形魔導士であるリオンくんと雪の魔法を操るイヴさんだと、ややこちらに優位性があるか?
「それでは両者、中央までお願いするカボ」
この10秒バトル、お互いにすでに間合いに入っている状態から開始されることもあり緊張感が半端じゃない。しかも一試合目があれだったせいで、ここからはさらに難しくなる。
『この二人のバトルはどうなると思いますか?ヤジマさん』
『うむ。二人とも力のある魔導士だからねぇ・・・それに、お互いに頭もいい』
実況席も気が付いているが、シリルが自身の策略を盛り込んだ戦法で勝利を掴みにいったことでここからの参加者はそれすらも頭に入れなければならなくなる。純粋に一撃必殺を持つものが強いかと思われたのに、あいつの一手によってそれだけではなくなったのだ。
『相手の意表を突くかはたまた力でゴリ押すか、対して敵はどちらで来るのかそれとも第三の手があるのか、見応えある戦いになるかもなぁ』
10秒の戦いをいかにして勝ちきるかというだけでも厄介なのにますます気を使う要素が増えたことにより負担が増している参加者。それを楽しげに見ている発案者のカミューニさんが妙に気になるが、気のせいだろう。
「天馬も一番いい魔導士を選んできたわけね」
「まぁ、普通にそうなるでしょ」
これがヒビキさんやジェニーさん、シェリーさんなら力ではリオンくんに勝てないからそこを注意する必要はない。レンさんの場合も彼に奇策が思い付くとは到底考えられないため、それを警戒する必要がない。ただ、イヴさんは違う。
あの人は力もそれなりにあるし頭もいい。普段のキャラがあれだからわかりにくいが、ヒビキさんに近しいものを持っていると聞いている。でも・・・
「まぁ、問題ないでしょ」
「だな」
「オオーン」
心配するほどではないかな、というのが俺らの総評。イヴさんの力を甘く見ているわけではない。それでも純粋に、リオンくんの方が強いからだ。
『それでは・・・バトル開始!!』
合図の銅鑼と共に片手を地面に付けるリオンくん。彼の強みは以前自身を過信していたことにより産み出された応用。
「わっ!!」
本来の造形魔法は片手ではバランスが悪い。そのため造形魔導士は全員両手を使って攻撃しているが、リオンくんは片手でも造形ができる。もちろん威力は落ちてしまうが、その実速度に関してはトップクラスに躍り出る。
「アイスメイク・・・巨人の足!!」
「うわあああああ!!」
イヴさんが魔法を繰り出すよりも早くそれを行い、完全に姿勢を崩したところでトドメの一撃。イヴさんも素早い動き出しをしていたのは見えてはいたが、それ以上にリオンくんの方が速く、そして強かった。
『勝負あり!!勝者!!蛇姫の鱗リオン・バスティア』
理想的とも言える完璧な勝利に両手を挙げて応えるリオンく。それを見てシェリアとユウカさんは安堵の息を漏らし、トビーさんとサクラはガッツポーズを見せている。
「ま、当然の結果か」
天馬の中なら確かにイヴさんが適任だけど、彼ではリオンくんには及ばない。ひとまずこれで最下位脱出は確定したことと、今日の俺たちの出番はもうないため安心して試合を見れる。
『それでは続きまして第三試合!!妖精の尻尾vs四つ首の番犬の試合を行います!!』
「お?」
さすがに試合時間が短いこともあり次々に進んでいく。しかも次の試合は意外と面白いものが見られるかもしれない。
「前回の二日目もこの組み合わせあったよね?」
「あの時は運営のミスもあってゴタゴタしてたけど・・・」
「今回はどうするのかな?」
四つ首の番犬的にはバッカスさんを投入したいだろうけど、あの人は昨日の競技パートに出てる。ほぼワンマンチームであの人を真っ先に使ってしまうと残りの二日間でポイントを取れるか怪しいところ。
対して妖精の尻尾は登録メンバーの半数が待機場所にすら出てこれていない状況。出せる戦力が限られている中でお互いに誰を出してくるかだけど・・・
『両チーム速い!!参加メンバーが早速決まった模様です』
ルール的には余裕があるけど、どのチームも選手の選択が速い。うちもだけどどこも下手に時間を使って相手に対策を練らせるのを嫌がっているとも見て取れるほどに。それも全部シリルのせいなんだけど、このカードを見たらそんなことすっ飛んでしまう。
『妖精の尻尾からは妖精女王のエルザ!!対する四つ首の番犬はバッカスを惜しげもなく投入だぁ!!』
「戦力の温存とか、考えるギルドじゃないか」
「オオーン」
「激熱ですね!!すごい!!」
前回大会で当時の国王が待ち望んでいた二人の対決。思わぬ形でそれが実現したことで闘技場にいるマトーくんが心なしか嬉しそうに見える。しかもこの二人のバトル、なかなかに見応えがありそうだ。
グレイside
「おい。マジでバッカスが出てきたぜ」
エルザの予想通り相手の参加者はバッカス。あいつの性格なら残り一度しかない出場権をここでぶつけてきてもおかしくないが、それにしても思い切った戦法だと思ってしまう。
「向こうも私が出てくるのはわかっていたはずだからな」
「チッ、なんで俺じゃねぇんだよ」
お互いのことを理解し合っているからこその意志疎通というわけか。そんな中いまだに出場のないガジルは不満げに口を尖らせていた。
「ガジル、お前には一番重要な任務があるからな」
「任務だぁ?」
そんな彼に対してエルザは冷静さを保ちながら話しかける。ガジルはそんな彼女に対してガンを飛ばしながら苛立ちを見せていた。
「今、私たちのチームは人が足りない。下手をしたら明日の競技でほとんどの出場資格を使ってしまうほどにな」
ギルダーツもラクサスもナツもいない。最悪リザーブ枠もあるがそれを使えるのは一度だけ。そうなるともし明日競技パートもバトルパート二人選出なんてことになれば残りの出場枠が一回のみになってしまう。
「それがなんだってんだよ」
「昨日確認して見たが、どうやら競技パートやダブルバトルを一人だけにするのも最悪やってもいいらしい」
「はぁ!?なんだそりゃ!?」
てっきり救済措置でもあるのかと思ったが、そんな明らかに不利な条件に突っ込みを入れざるを得ない。ただ、運営側で決まっていることならそれに従うしかないのか。
「もしそうなったら・・・お前に行ってもらうからな」
「「!!」」
あまりにも理不尽な提案にも関わらず彼女はまるで気にする素振りがない。その目は明らかに本気の物になっており、俺たちは面を喰らっていた。
「面白ぇじゃねぇか、ギヒッ」
ただ、勝ち気なガジルにはいい提案だったらしく嬉しそうに笑みを浮かべている。エルザはそれを見て満足すると、闘技場へと降りていった。
「そんなことになったら・・・相当マジィけどな」
二対一なんて昨日の惨劇が起きかねない。もちろん相手にもよるが、できることならそうならないことを祈りながら俺たちは三人の意識が戻ることを待ち続けるしかないのか。
ソフィアside
「そういえばあの二人って初対戦ですか?」
「大魔闘演武ではね」
「妖精の尻尾が凍結封印される前に、一度戦ったことがあるらしいよ」
凍結封印前ってことは10年くらい前?そんな昔の話じゃ全然参考にならないじゃんと思ったのはソフィアだけじゃないはず。それにバッカスさんも強いけど、エルザさんは群を抜いているんだよねぇ。
「みんなはどっちが勝つと思う?」
「そりゃあエルちゃんでしょ!!」
「同意見だね」
「エルザナメちゃいけないよ」
「あぁ」
ベスさんの問いに答えるみんなも同じ意見みたい。ただ、ネックになるのはこの試合時間か。
「意外とスロースターターだからなぁ、あの人」
エルザさんは強いけど、強敵との戦いの時は序盤に優勢を取られやすい傾向にある。そこから何かしら相手に隙が生まれたところで一撃必殺を押し込んでいる印象があるから、この10秒バトルはもしかしたら相性が悪いかも?
「まぁ、それよりも次の試合の方が楽しみだけどね」
次の試合の対戦カードは決まっている。その時相手から出てくる可能性があるのは三人に既に絞られている。それによってうちも出すメンバーを変えるだけだけど、どれになってもソフィアには楽しいばっかりだからもうヨダレが止まらないよね。
第三者side
両者共に間合いに入っている状態で睨み合う。バトルが始まろうとしている今、会場は静寂に包まれていた。
『バトル開始前から既にこの緊張感!!いかがですか?ヤジマさん』
『二人の実力は拮抗しているからねぇ。面白いバトルになると思うよ』
以前の大会では結局戦えずに終わった二人。それがようやく叶ったことに男は笑みを浮かべており、女性は真剣さを一切崩さずにいる。
『カミューニさんはどうですか?』
『・・・あぁ。いい勝負すると思うぜ。特に・・・』
カミューニが見ている先にあるのはバッカスが捨て置いている瓢箪。一見試合の邪魔になるからそこに置いているように見えるが、その前までの彼の挙動を青年は見逃していなかった。
『バッカスは既に全開で酔ってるみたいだしな』
『え?』
そう言われチャパティはようやくバッカスの顔の赤みが普段よりも強いことに気が付いた。そしてそれはこの戦いのルールによるメリットとも言える。
『酔っ払いは持久力がない。ゆえにあいつは以前の大会で最終日、序盤から酔っておくことができずにスティングに遅れを取った。だが、酔っ払いの瞬発力は常人を凌げる』
そこにバッカスの能力の高さが加われば文句無しなのは言うまでもない。だが・・・
『勝つのはバッカスと言うことですか?』
『いや・・・』
そう単純ではないのが魔闘なのだ。
『エルザもエルザで対策を講じているようだ』
一見彼女の姿はいつもの鎧を着ている物にしか見えず、何も変哲はないように見える。しかし、ヤジマも彼の言いたいことが何なのかすぐにわかった。
『立ち位置かね?』
『あぁ。そうだ』
バッカスは規定のラインを踏むほど敵に寄っているのに対し、エルザはラインに爪先がギリギリかかるほどの位置。これが意味することをわかっているものとわかっていないもので会場の反応は別れていた。
「どういうこと?」
「エルザは先制を狙ってないってことじゃね?」
「でもなんで?」
前のめり気味なバッカスに対し受け身と思われるエルザ。実況席の見解を二人は述べる。
『エルザの換装速度はトップクラスだ。この距離でもそれができるほどに』
『つまりバッカスくんにギリギリまで鎧の情報を与えず、できることなら彼の動きに対応できるものを選ぶはず』
『もちろん換装中に受ければ一溜りもないが、そんなこと微塵も考えてないんだろうな』
両者共に得意分野を最大限に生かすことを考えているこの戦い。彼らの戦いを一番楽しみにしていたであろうマトーくんはドキドキしながら試合開始の合図をかける。
「それでは・・・始めカボ!!」
その合図と共に両者は予想通りの動きを見せた。
「換装!!」
一人は換装をし敵の攻撃へと備え、
「酔・劈掛掌!!」
一人はその圧倒的なスピードを用いて敵へと突っ込む。
「ハッハァ!!」
その結果、緋色の髪の女性の肉体に無数の痣が一瞬で浮き上がっていた。
「速ぇ!!」
「マジかよ!!」
ほとんどのものが視認できないほどのスピードで数発もの平手を撃ち込んだバッカス。これにはエルザの仲間であるグレイとガジルも目を疑わざるを得なかった。
「エルザ!!」
「まさか・・・」
「そんなわけ・・・」
それは別チームの女性たちも同様で、思わず口元を抑えしまう。
「どうだ?エルザ。俺の酔・劈掛掌は」
勝利を確信し背を向けたまま問いかけるバッカス。だがその直後、彼の顔色が一瞬で変わった。
「相変わらずすごいな、お前は。だが・・・」
痣だらけの理由。それは彼女が換装した鎧に理由があった。上半身はさらしに下半身は赤い袴。見るからに防御力のないそれであったが、その手に握られる深紅の剣からは赤いものが滴り落ちている。
「私はもっと強い」
「ぐはっ」
凄まじい音を立てて倒れるバッカス。これを見ていたすべての者が何が起きたのかわからず唖然とし、静寂した時間が流れる。そこはまるで時が止まっているかのように感じられた。
『・・・しょ・・・勝負あり!!勝者!!妖精の尻尾・エルザ・スカーレット!!』
連撃を得意とするバッカスと一撃必殺を持つエルザ。互いに最も得意なものを繰り出したライバル対決は絶対的な女王へと軍配が上がった。
「やはり強いな、姐さんは」
その戦いを見守っていた黒髪の女剣士は嬉しそうに口元を緩ませている。それを見ている仲間たちは彼女の気持ちを理解しているようで、何も言わない。
「姐さんもシリルも私が倒す。そのため・・・」
『それではただいまより本日の最終試合!!人魚の踵vs剣咬の虎の試合を行います!!』
そのアナウンスと共に顔を上げるカグラ。それを見ていたかのように、剣咬の虎からは一人の女性が闘技場へと舞い降り、その姿を視認するやすぐさま彼女も降り立つ。
『こ!!これは!!剣咬の虎からはミネルバ!!そして人魚の踵からはカグラだぁ!!』
これまた以前の大会では決着を付けられなかった実力者二人の戦い。会場は休む間もなく次から次へと組まれる好カードにますますボルテージを上げている。
「私は負けるわけには行かない」
そして降り立ったその剣士は強い眼光で目の前の女性へと視線を向けた。
後書き
いかがだったでしょうか。
エルザとバッカスの次はカグラとミネルバです。
正直この二つのバトル真面目に書くと燃え尽きるのでこの短時間バトルルールはマジ必要。これ考えた人に感謝が止まらない|ョω・`)モトネタネ?
ページ上へ戻る