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星河の覇皇

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第八十五部第一章 国防省への忠告その三十八

「気をつけているとのことだ」
「だからですね」
「中々な」
「暗殺は出来ないですね」
「キューバのフィデル=カストロもそうだった」
 この人物もというのだ、二十世紀から二十一世紀にかけてキューバを統治した独裁者で共産主義者であったことで有名である。
「敵対するアメリカに数百回も暗殺を仕掛けられたがな」
「全て乗り切りましたね」
「そのカストロも暗殺はわかっていた」
 それを仕掛けられることはだ。
「だから身辺には気をつけていてだ」
「それで、ですね」
「靴の履いた部分に毒を塗られていることもあった」
「そこから毒が身体に滲み込みますね」
「足の裏からな」
「アメリカはそこまでしてカストロを暗殺しようとしましたね」
「伊達に数百回も暗殺計画を立てていない」
 アメリカも必死だったということだ、敵を消す為に。
「そうした」
「そしてこのことはですね」
「ギルフォード総統も知っている筈だ」
「ブラウベルグのこともあるので」
「ブラウベルグは総統の執務室で使っているペンに毒を塗られていた」
「指から毒が滲み込みますね」
「連合各国はそこまでして暗殺しようとした」
 これは歴史にあることだ。
「カストロ以上、千回もだ」
「暗殺計画を立てられてはいないですね」
「そしてこのことはエウロパでも知られている」
「まさにですね」
「そうだ、しかしだ」
「それでも生き残って来ましたね」
「そして天寿を全うした」
 連合からの数多い暗殺計画を文字通り全て退けてだ。
「それを知っているならな」
「それならですね」
「あの御仁もだ」
「ブラウベルグのそのことからですね」
「我々が暗殺を考えていることはな」 
 まさにというのだ。
「察している筈だ」
「だから用心もですね」
「相当にしていてだ」
 そしてというのだ。
「そう簡単に仕掛けられるものでもないうえにな」
「仕掛けてもですね」
「果たしてな」
「それが成功するか」
「私は絶望的だと考えている」
 ギルフォード暗殺、それが成功することはというのだ。
「だからだ」
「それは、ですか」
「最初からしない、暗殺は確かに敵を最低限の労力で亡き者に出来るメリットがあるが」 
 それでもというのだ。
「デメリットも存在する」
「暗殺計画が露見すればこちらの失態となり」
「内外から糾弾される」
「そして今度は自身の政治生命が危うくなりますね」
「実際ブラウベルグはそれでだ」 
 暗殺を生き抜いた彼はというのだ。 
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