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X ーthe another storyー

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第三十七話 退院その九

「神威ちゃんだけでなく」
「僕もですか」
「はい」
 小鳥は征一狼にも笑顔で答えた。
「そう思います」
「そうですか」
「皆さんとても優しくて暖かくて」
 そうした心の持ち主達でというのだ。
「信頼出来ます」
「そうも出来ますか」
「とても」
「俺は俺を信じろとは言わないが」
 神威も再び言ってきた。
「しかしな」
「それでもですか」
「信じる」
「僕達をですね」
「そうだ」
 征一狼に対して答えた。
「何があってもな」
「そう言って頂けると嬉しいですから」
 それでというのだ。
「僕も他の皆さんもです」
「俺を信じてくれるか」
「そうさせて頂きます」
「そうか、ならな」
 それならとだ、神威は応えてまた言った。
「嬉しい、この中にいられてよかった」
「僕達の中に」
「ああ、本当によかった」
 こうも言うのだった。
「俺はな、ただな」
「ただ。どうしたのかしら」
 今度は火煉が尋ねた。
「一体」
「いや、封真もな」
 学校で出会い今も時折話す彼とはというのだ。
「別に苦しい環境じゃないな」
「そうね、お兄ちゃん今神社で一人暮らしで」
 神威と同じく彼をよく知る小鳥も言ってきた。
「神社に神職の人達もいつも通り来てくれるけれど」
「それでもだな」
「これといってね」
「困っていないな」
「お家でもそうで」
 そちらで一人暮らしでもというのだ。
「学校でもね」
「これまで通りだな」
「私達がいなくても」
「そうだな、そしてだ」
 それにというのだ。
「地の龍の六人だったな」
「お兄ちゃんを入れて七人ね」
「その中にあってもな」
「悪いことはないみたいね」
「そうだな」
 神威は小鳥に探る様な顔で答えた。
「あいつも」
「地の龍の人達も悪い人達じゃないのね」
「そうだな」 
 まさにと、神威は答えた。
「俺もそう見ている」
「私もね」
「小鳥もだな」
「そう感じるわ、皆さんのお話を聞いても」
「これが実際皆悪人やないさかいな」
 空汰もこのことを言った。
「わい桜塚さん以外の血の龍と会ってるけどな」
「封真ともだな」
「ああ、学校で向かい合って飯食いながら話したことあるで」
 神威にこのことも話した。
「嵐ちゃんや護刃ちゃん達と一緒にな」
「そうだったな」
「遊人さんとも向かい合ってお好み焼き食いながらや」
「話したな」
「とりあえずあそこで地の龍やとわかってるな」 
 そうしたというのだ。 
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