彭侯
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第四章
「どうもな」
「まあ普通はですね」
「そんなの食べないですね」
二人もそれはないと答えた。
「人間ですし」
「それを食べるって」
「相当おかしいか餓えてないと」
「食べないですね」
「しかも見せしめで送られたものをな」
送られた諸侯の立場に立っての言葉である。
「誰が口にする」
「怖くて出来ないですね」
「叛乱起こせばこうなるって突きつけられたものを食べるとか」
「流石にです」
「そんなことする人はいないですね」
「だから塩漬けにされてもな」
それでもというのだ。
「イコール食べられるかというと」
「違いますね」
「そのことは」
「左様、あとわしの仲間を食ったという話があるが」
彭侯は彭越の話から自分の種類の話をした。
「何でも犬の様な味がするという」
「犬ですか」
「身体犬だからですか」
「木の精でもですか」
「犬の味がしますか」
「それで戦争中や終戦直後な」
食べものがなかった時代にというのだ。
「犬を食べる者もおったが」
「彭侯さんもですか」
「食べようという人がいましたか」
「いや、わしはずっとここにおるが」
古墳のところにというのだ。
「わしを見ても食おうという者はな」
「いなかったですか」
「そうでしたか」
「いなかった」
そうだったというのだ。
「妖怪を食おうという者はな」
「そうなんですね」
「食べられなかったんですね」
「犬を食う者はおった」
その頃というのだ。
「中には猫もな」
「食べる人がいたんですか」
「その頃は」
「そうだった」
実際にというのだ。
「何も食べるものがなくてな」
「それならですね」
「犬も猫もですね」
「そういえばそんな国ありますね」
「今も」
ここで二人はこうした話もした。
「その中国でもそうで」
「韓国でもベトナムでも」
「犬食べますね」
「猫でも」
「八条学園って世界中から人集まるんで」
「私達もそうしたお話聞いています」
「しかし大いに食べられておるか」
妖怪は二人に尋ねた。
「犬や猫は」
「違うみたいですね」
「これが」
二人もそれはと答えた。
「やっぱり豚肉とか牛肉ですね」
「それに鶏肉」
「羊もありますし」
「お魚でも」
「実際犬はあまり美味しくない」
そうだというのだ。
「猫もな」
「牛や豚と比べると」
「どうしても」
「それでな」
その為にというのだ。
「好んで食べる者も少ない」
「まあそうですね」
「私達もあまり食べたいと思わないですし」
「そうした国の子達も牛や豚の方がいいみたいです」
「鶏肉とか」
「だからわしを食ってもな」
例えそうしてもというのだ。
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