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神々の塔

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第三十七話 氷の海の神々その六

「夏もそやけど特に冬はな」
「煖房利かしてへんと」
「寒くてな」
「暑いのはいいのよ、暑いのは」
 アレンカールは強い声で言った。
「そやけど寒いのはね」
「アレンカール君は特にやね」
「吸血蝙蝠やサンゴヘビがおらへんのはええよ」
 こうした危険な生きもの達がというのだ。
「そやけどね」
「それでもやねんね」
「冬寒いのはね」 
 このことはというのだ。
「あたい達熱帯の人達にとってはね」
「困るんやね」
「そうなのよ」
「マラリアにまずならへんのはええが」
 リーは今度はこんなことを言った。
「そやけどな」
「それでもやねんね」
「冬寒いのはな」
「あかんねんね」
「冷えるのはな」
 どうしてもというのだ。
「あかんわ」
「生まれ育った気候がええんやね」
「ほんまな」
「全くよ、ただほんまに吸血蝙蝠とかがおられんのはええのよ」
 このことはとだ、アレンカールはまた言った。
「狂犬病うつされるしね」
「それが怖いんやね」
「サンゴヘビとかボアとかね」
「毒蛇とか大蛇とか」
「あとウマバエもね」
「そのお話止めような」
 綾乃はウマバエと聞いて瞬時に真っ青になってアレンカールに言った。
「怖いし気持ち悪いし」
「知ってるのね、綾乃ちゃんも」
「知らん筈ないやん」
 綾乃は暗い顔で述べた。
「こっちの世界におるし」
「そうなのよね」
「しかもうち等の学校中南米の子多いし」
「世界中から人が集まっていてね」
「それで中南米も人口多くて」
「八条グループも進出してるし」
「そやから」
 その為にというのだ。
「中南米の子も多いし」
「あたいだけやなくてね」
「星の子でも結構おって」
「そうそう、これがね」
 その中南米の棟梁であった立場からもだ、アレンカールは話した。彼は神星の一人としてその立場にあったのだ。
「それでなのね」
「お話聞くから」
「中南米のお話として」
「アマゾンとか古代文明のお話も聞いて」
 そしてというのだ。
「あの蠅のお話もやねん」
「聞いてるのね」
「聞いてるとぞっとして」 
 ウマバエのそれをというのだ。
「忘れられへんわ」
「それでなのね」
「もう聞かんでも」
 それでもというのだ。
「わかってるし」
「聞きたくないわね」
「怖過ぎて気持ち悪過ぎて」
「ほな止めるわね」
「そうしてや」
「まあな、あんな話一回聞いたらええ」 
 シェリルも真顔で言った。 
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