馬車の秘密
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四章
「そうそう用意出来ないしな」
「馬に車にとな」
「それにホロも付けてな」
そうもしてというのだ。
「そうなるとな」
「随分と金がかかる」
「だからこの商売自体だ」
「そうは出来なくてな」
商売をはじめ続けていくにも金がいる、二人の商売所謂馬車屋にしてもそうでその馬車が随分金がかかるということだ。
「店も少ない」
「この街でもな」
「大きな街でもな」
「だから競争してもな」
ハンスはそれはいいとした。
「それでお互い高め合ってな」
「いい商売が出来たらか」
「それでいいけれどな」
それでもというんだった。
「最悪はお互いに潰れることだな」
「共倒れか」
「そうなったらな」
店同士がというのだ。
「馬車自体なくなってな」
「使う人達も困るな」
「ああ、だからな」
「そうならない様にしないと駄目だな」
「わし等もな、じゃあこれからもな」
「競争相手、同業者としてか」
「やっていこうな」
オックスに顔を向けて話した。
「そうしような」
「そうだな、それじゃあな」
「仲良くな、それでだが」
あらためてだ、ハンスはオックスに話した。
「今から飲みに行くか」
「店も今日は終わったしか」
「ああ、肉屋の親父を誘ってな」
そうしてというのだ。
「三人でな」
「飲みに行くか」
「ビールをな」
この酒をというのだ。
「ソーセージかベーコンを肴にな」
「ジャガイモもあるな」
「勿論だ、ジャガイモはバターかチーズを乗せてな」
「それがいいな」
「ああ、一緒にな」
「楽しもうな」
こうした話をしてだった。
ハンスは肉屋の親父も誘ってオックスと一緒に三人で飲みに行った、そしてビールとつまみを楽しんだ。ソーセージやベーコンも美味かったがジャガイモもだった。茹でてバターを乗せたそれはビールにもよく合って仕事を終えた彼等を存分に癒した。
馬車の秘密 完
2023・4・15
ページ上へ戻る