中日暗黒時代

「それはな」
「ああしたことするからですか」
「そうだよ、敗戦処理でもな」
　それでもというのだ。
「一人それも若いピッチャーにな」
「一人で十点取られる位ですね」
「一回でそこまでやられる位調子悪いなら」
　それならというのだ。
「もうな」
「交代させるべきですね」
「そうだよ、実際ブルペンに入っただろ」
「ストッパーの人が」
「制止を振り切ってな」
　そのうえでというのだ。
「そうだっただろ」
「そうでしたね」
「もうそこまでな」
「酷い状況でしたね」
「幾ら敗戦処理でもだよ」
　その状況で投げさせてもというのだ。
「ああしたな」
「晒し投げはアウトですね」
「絶対にな」　
　それこそというのだ。
「駄目だよ」
「やっぱりそうですね」
「それをやってな」
　そしてというのだ。
「ベンチはな」
「全く動かない」
「しかも即刻だろ」
　杉下はスポーツ新聞の紙面を観つつさらに苦い顔になって言った。
「二軍落ちだろ」
「昨日投げた人全員で」
「近藤だってな」
「そうですよね」
「こんなのでチームの雰囲気がよくなるか」
「そんな筈ないですね」
「ドン底になってな」
　そうしてというのだ。
「ああなるんだよ」
「去年最下位で」
「こんなのだとな」
「今年もですね」
「何か福岡だとな」
　この地域ではというのだ。
「ホークス言われてるな」
「補強しても勝てないとかですね」
「それで首脳陣色々言われてるみたいだけれどな」
「何処もですね、巨人にしても」
「ああ、埼玉の方もな」
　こちらは西武ライオンズである。
「色々言われてるな」
「負けるとどうしてもそうなりますね」
「けれどな」
　それでもとだ、ここで杉下は一呼吸置いて言った。
「流石にな」
「今の中日よりはですか」
「どのチームもな」
　それこそというのだ。
「ましだよ」
「そう言っていいですよね」
　店員もそれはと答えた。
「昨日の試合は」
「あんまりだな」
「本当に」
「もう決まりだよ」
　ボリュームのあるモーニングを年齢を感じさせない勢いで食べつつ言うのだった、完食しそうな位である。