八条学園騒動記
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第七百十七話 三つ目の蜥蜴その十
「しかしな」
「改宗した者がいたことはですか」
「事実だ、しかしな」
「信仰は守られてきましたか」
「ローマによるエルサレム陥落以降もな」
「ローマですか」
「随分昔だがな」
この時代から見れば三千年以上前のことである。
「もっと言えばバビロン捕囚とエジプト脱出もあったが」
「聖書にある」
「幾多の苦難があってもな」
「彼等は信仰を捨てなかったのですね」
「だから今もな」
この時代もというのだ。
「彼等は信仰を守る」
「そうなのですね」
「頑なと言われてもな」
それでもというのだ。
「彼等はな」
「そうしていますか」
「それで食事でもな」
「信仰を出しますか」
「そして周りもな」
「それを受け入れていますか」
「信仰は絶対のものだな」
エウロパでもそうであることをだ、大尉は上等兵に顔を向けて話した。
「そうだな」
「はい、その人それぞれの」
上等兵もそれはと答えた。
「確固たるです」
「むしろ神を信じない方がな」
「稀であります」
この時代ではどの国でもそうなっている、信仰自体は否定されず人類社会に定着しているのだ。
「最早」
「人間は宇宙に出てな」
「かえって神を信じる様になりましたね」
「そして実に多くの神界が存在することもな」
「感じたといいますね」
「だからだ」
その為にというのだ。
「一人が複数の宗教を信仰したりな」
「それぞれの神を信じるという考えで」
「そしてだ」
それでというのだ。
「信仰自体もな」
「確かになりましたね」
「そうなった」
人減はというのだ。
「そしてな」
「それで、ですね」
「さらに言うとな」
実際に大尉は言葉を続けた。
「ユダヤ教徒もその中にあってな」
「ヘブライの頃からの信仰をですね」
「守っている、若しそれを破るとな」
「また神罰を受けると考えていますか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「彼等はな」
「そうなのですね」
「だから食事もだ」
「豚肉等は食べず」
「親子関係にあるものもな」
「口にしないのですね」
「そして非常に質素な生活がよしとされる」
ユダヤ教徒のこのことも話した。
「兎角働きな」
「禁欲的ですか」
「贅沢はせずな」
そうしてというのだ。
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