母が三日いないと
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第一章
母が三日いないと
森田家の主婦千恵美は三日間旅行に行くことにした、その時留守の間の家事のことをサラリーマンの夫の富雄と中学三年の息子健に言ったが。
二人は能天気にだ、こう言うだけだった。
「ああ、わかったよ」
「じゃあ適当にやってくよ」
「洗濯は洗剤入れてボタン押して終わりだし」
「料理はレトルトとかコンビニ弁当喰うよ」
「あの、服畳んだり食器洗ったり」
千恵美は心配そうに言った、一五二センチ位で茶色い髪の毛は短い。童顔で大きな若々しい目で年齢を感じさせない。四十代だが二十代にも見える。
「そうしたこともね」
「大丈夫だよ」
黒髪を真ん中で分け眼鏡をかけた面長の穏やかな顔で一七二位の痩せた体格の夫は安心しきっている顔で応えた。
「心配しなくても」
「そうだよ、旅行楽しんできたらいいよ」
母の顔と父の体格と髪の毛の質を受け継いでいる息子もそうした感じだった。
「僕達だって洗濯したことあるし」
「コンビニで買ったら何とでもなるじゃないか」
「お母さんは心配し過ぎだよ」
「暫くなら何とかなるよ」
「そうかしら」
母はそう言われても信じられなかった、だが。
自分の母と姉それに妹の四人で旅行に行った、旅行自体は楽しめたが。
家に帰るとだ、家の現状を見てこう言った。
「やっぱり」
「やっぱりって?」
「どうしたのかな」
「ちらかってるし」
見れば部屋は何処も掃除されていなかった。
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