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八条学園騒動記

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第七百十七話 三つ目の蜥蜴その一

                三つ目の蜥蜴
 大尉は上等兵をムカシトカゲのコーナーに連れて行った、そしてすぐに上等兵に対してこんなことを言った、
「生きものの目は幾つだ」
「二つです」
 状塀は即座に答えた。
「昆虫は複眼ですが」
「そうだな」
「大抵の生きものは」
「中には単眼で進化したものもいるがな」
「はい、しかし大抵はです」
「二つだ、しかしこの蜥蜴はだ」 
 ムカシトカゲはというのだ。
「三つ目だ」
「目が三つあるのですか」
「そうだ、額にな」
「そうは見えないですが」
「退化していて見えなくなっているのだ」
 その三つ目の目はというのだ。
「そうなっているのだ、だがな」
「身体にはですか」
「まだな」
「三つ目としてですね」
「残っているのだ」
「そうなのですね」
「連合では複数の目を持つ神もいるな」
「仏教の仏ですか」
「そうだ、明王ではな」
 この仏ではというのだ。
「手や顔が幾つもあったりな」
「目もですね」
「幾つもあったりしてな」
 そしてというのだ。
「三つ目の仏もだ」
「明王でありますね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「何でもチベット仏教ではな」
「第三の目をですか」
「開く様な修行をだ」
 そうしたものをというのだ。
「行っているらしい」
「そうなのですか」
「どうもな」
「チベットといえば」
 上等兵はこの国について話した。
「我々もです」
「あまり知らないな」
「連合の中では重要な国かといいますと」
「違うな」
「はい、小国と言ってよく」
「目立たない国だな」
「豊かでもなく」
 連合の中ではだ。
「産業もあまりなく」
「人口も少ないな」
「そうした国なので」
「私も知らない、しかしな」
「それでもですか」
「あの国は宗教国家でだ」 
 チベットはというのだ。
「それでだ」
「その宗教ではですか」
「第三の目を開く様なだ」
「修行をしていますか」
「チベット仏教ではな」
「確かダライ=ラマでしたね」
 上等兵はこの名前も出した。
「チベットの国家元首は」
「そうだ、何でも生まれ変わっているそうだ」
「輪廻転生ですか」
「それを繰り返してな」
 そのうえでというのだ。
「長きに渡ってだ」
「代々生まれ変わっていますか」
「そうなっているそうだ」
「生まれ変わりですか」
「生まれ変わりはな」
 大尉はこの考えの話もした。 
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