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X ーthe another storyー

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第三十五話 質問その五

「私は颯姫さんはです」
「殺したくないのね」
「命を奪うことは」
「それよ」
 まさにとだ、颯姫はここで言った。
「私がお話したいことは」
「そうですか」
「今まで思っていたの」
 モニターの中で無表情のまま言うのだった。
「人間はどうして他の命を奪うのか」
「生きる為ですよね」
 護刃は攻撃は犬鬼に任せ自身は術で防壁を出して彼と自分を護りかつ空中を舞ってその攻撃をかわしつつ言った。
「食べたり。動物でも植物でも」
「そうね。ただ楽しむ為に殺す人もいるわね」
「それは」
「人間の中には」
「悪い人ですね」
「最近まで誰もがと思っていたわ」
 人間はというのだ。
「他の生きものと違ってね」
「人間は生きる為以外にもですか」
「自分の楽しみの為にね」
「他の命を奪う」
「星史郎さんもそうした人だとね」
 同じ地の龍である彼もというのだ。
「思っていたわ。けれど」
「最近は違いますか」
「そう思えてきたわ。人はそれぞれで」
「いい人も悪い人もいて」
「一概に言えなくて」
 そうした存在でというのだ。
「命を大事にする人もね」
「いますか」
「そして命を奪っても」
 それでもというのだ。
「悲しんだり辛いと思う」
「そうした人もいますよ、それも大勢」
「その様ね、けれど」
「けれど?」
「私はまだわからないのよ」
 こう言うのだった。
「果たしてその通りか」
「それでそれが確かかどうか知りたくて」
「そうしたお話が出来そうな貴女とよ」
「お話がしたかったんですね」
「そうだったけれど」
「そうですか」
「いいかしら」
「はい、ただ私はそう思いますが」 
 自分に言って来た颯姫に攻防の中で言葉を返した。
「確かなことだと思っても」
「実証出来るかしら」
「それは出来ません」
「そうなのね」
「はい、ただ」 
 それでもとだ、護刃は颯姫に空中から答えた。犬鬼は今も彼女の傍にいる。
「私は断言は出来ます」
「命を奪って痛みを苦しみを感じる人がいると」
「そうです、そして生きる為でも」
「出来るだけなのね」
「命を奪いたくないと思う人も」
「そうなのね」
「結局人間いえあらゆる命は生きていますと」
 そうしているだけでというのだ。
「直接でも関節でなくても」
「命を奪うことになるわね」
「はい、ただ楽しんで奪う人は」
「そうはいないわね」
「私はそうした人にはお会いしたことはないです」
「私もよ。自己中心的な人や意地悪な人には会ってきても」
「そうした人にはですね」
 颯姫に問うた。
「全くですね」
「どんな人に何をしても痛みや苦しみを感じない人は」
「そうですよね、ただ」
「星史郎さんね」
「あの人はそうだとも聞いていますが」
「違うわ」
 全く、とだ。颯姫は答えた。 
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