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神々の塔

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第三十五話 道教の神々その八

「そうか」
「ああ、あそこか」
 羅は施のその言葉に頷いた。
「始皇帝の」
「あの人の建築物の一つや」
 兎角やたらと建築を好んだという彼のそういったものの一つである、他には万里の長城や阿房宮がある。
「それちゃうか」
「そやな」
「十王さん達が冥界の裁判官、神々やし」
「そっちやな」
「そうか、冥界の裁判官が次の相手やから」
 メルヴィルはそうかという顔になって述べた。
「それでか」
「そやな」
 トウェインも述べた。
「お墓やな」
「そういうことやな」
「驪山陵ってめっちゃ有名やけど」
 綾乃も言ってきた。
「広いから迷路になるんやろか」
「まあそやろな」
「実際めっちゃ凄い大きさやったし」
「それ有名やしな」
「始皇帝さんの建築物だけあって」
 羅に施、メルヴィルにトウェインが応えた。綾乃の前からそれはという顔になってそれで言うのだった。
「実際そやったらしいな」
「中は広くてな」
「罠もあって」
「色々あったらしいな」
「それで項羽さんが暴いて」
 項羽はこのことで批判されてもいる。
「財宝とか全部奪い去ったんやね」
「そうそう、そうしたんや」
「史記にも書いてるな」
「阿房宮は焼いて」
「秦の皇族皆殺しにしてな」
「そやったね、それでその暴いた時は」
 こうしたことは史記に書かれている、尚項羽は紀伝体の紀で書かれていることから司馬遷が彼を帝王とみなしていたことがわかる。
「迷宮で苦労して」
「それでや」
「この塔でも再現されてるな」
「迷宮であることが」
「そういうことやな」
「そやね、罠もあるし」
 芥川がそれを解除しているのを見て言った。
「言われたらまんまやね」
「ああ、しかしな」
 ここでだ、その芥川も言ってきた。
「驪山陵やけどな」
「何かあるん?」
「いや、始皇帝評判悪いやろ」
 この人物自身の話をするのだった。
「民を苦しめた暴君ってな」
「焚書坑儒もして」
「建築と重税と過酷な法でな」
 この三つでというのだ。
「民をとことん苦しめた」
「最悪の暴君やね」
「史記やとそうなってるな」
「そやね」
「実際はちゃうかったみたいやな」
 実は建築も税金も民のことも考慮して課していたという、また厳格だという法も実は弾力的に施行されていた。
「これが」
「そうみたいやね」
「どうも司馬遷さん秦が嫌いで」
 始皇帝のその国がだ。
「史記では他にもな」
「秦のことはやね」
「よく書いてへんわ」
「始皇帝さん以外にも」
「それでや」
「始皇帝さんの政にしても」
「その実はな」
 真実はというのだ。 
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