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ハッピークローバー

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第九十四話 暦のうえでは秋だけれどその二

「もうね」
「そうなのよね」
「だからないのね」
「お互い気を付けてるから」
「そうしてね」
「ええ、しかしね」
 同級生はこうも言った。
「付き合ってるとどうしてもそうした話ってなるでしょ」
「私は別に」
 達川とのことを思い出しながら答えた。
「ないわ」
「そうなの」
「いや、お互い奥手でね」
 少し苦笑いになって答えた。
「それでよ」
「そうなの」
「仲が中々ね」
「進まないのね」
「そうなのよ」
「それじゃあね」
 同級生は一華の言葉を聞いてそれならと返した。
「かなちゃんと同じね」
「かなちゃん?かな恵ね」
「私料理部と掛け持ちしてるでしょ」
「それでかな恵ともお友達なのね」
「あの娘はもう一ちゃんよりさらに奥手で」
 それでというのだ。
「成海っちとお互い就職するまでらしいわ」
「あの娘だとそうね、そういうのオープンな様で」
 かな恵はというのだ。
「実はね」
「お堅いところあるのよね」
「そうなのよね」
 その実はというのだ。
「あの娘は」
「そうよね」
「けれどあの娘もゴム持ってるわよ」
 一華はかな恵のこのことも話した。
「私もだけれど」
「使うつもりないのに」
「これ夏休みのバイト先の店長さんに言われたの」
 実際にというのだ。
「持っていないと駄目だって」
「またどうして?」
「いや、いざという時に備えて」
 一華はそれでと答えた。
「それでなのよ」
「持っておく様に言われて」
「実際にね」
「あんたもかなちゃんも持ってるのね」
「富美子も留奈も理虹もね」
 この三人もというのだ。
「持ってるわよ、いざという時妊娠しないし」
「ゴムあるとね」
「それに病気も防げるから」
「そうそう、病気って怖いっていうわね」
 同級生もそれはと答えた、そうして一華に対して神妙な顔になって言うのだった。その言うことはというと。
「ベートーベンの耳が聞こえなくなったのも」
「ああ、あの人梅毒だったのよね」
「そのせいでね」
「耳が聞こえなくなったのよね」
 死後解剖すると耳管が周りの部分が膨れ塞がっていたという。
「そうなったのも」
「梅毒だったからみたいよ」
「そうだったのね」
「だからね」
「梅毒は怖いのね」
「しかも死ぬしね」
「そうよね」
 一華は梅毒のこのことにも頷いた。
「放っておいたらね」
「他のそうした病気も怖いし」
「エイズとかね」
「だからよ」
「いざという時にそうした病気にならない為にも」
「ゴムは必要よ」
「そう店長さんに言われてね」
 それでというのだ。 
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