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神々の塔

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第三十四話 夜のアリアその二

「危ういわよ」
「そうした時はですか」
「我々も攻撃出来ますか」
「奇襲を仕掛けられますか」
「そうよ、だからね」
 それが可能だからだというのだ。
「よかったらこれからもね」
「隙を伺ってですか」
「攻めていいですか」
「そうですか」
「むしろそうしてくれたら」
 それならというのだ。
「あたい達にとってもいい鍛錬になるから」
「わかりました、ではです」
「これからもです」
「隙を伺わせて頂きます」
「全力で」
「そうしてね、ではまたね」
 アレンカールは彼等から金を貰うと去る姿を見送った、そうして仲間達と共にさらに進んでいくが。
 シェリルは夜の色の神殿の階からさらに上の階今度はごく普通の迷宮に見える階に入ったところでこんなことを言った。
「今度は普通かいな」
「いや、ちゃうな」
 リーがすぐに答えた。
「今度も魔笛や」
「さっきの階段と同じでか」
「今度は試練の神殿の様な迷宮やな」
「あの主人公達が試練を受ける」
「ザラストロからな」
 高僧とされているがその設定には色々と議論があるという。
「その神殿をや」
「模してるか」
「ああ、考えてみればこの塔に会ってる」
 リーはこうも言った。
「この塔は試練の塔やからな」
「一階一階上に上がって」
「神霊さん達と戦ってな」
「それで先に行くさかいな」 
 そうした場所だからだというのだ。
「ほんまな」
「この塔には相応しいか」
「ああ、魔笛はどうも展開が難しいが」
 最初善玉とされていた夜の女王が途中から一転して悪役となる、彼女の侍女達も主人公タミーノを助けながら共にそうなり悪役と言われていたザラストロが高僧になるのだ。
「矛盾してるとさえな」
「言えるな」
「そうやが」 
 それでもというのだ。
「試練を乗り越える作品やからな」
「この塔にも相応しいか」
「そうも思うわ」
 リーは真面目な顔で述べた。
「私としてはな」
「そうやねんな」
「そして」
 リーはさらに言った。
「今度戦う神霊さんの中に夜の女王がおられるのも」
「試練やな」
「そう思うわ」
「そうか。しかし夜の女王って悪役でもな」
 シェリルはこの神霊の歌劇においてのことをここで言った。
「憎めんな」
「というかめっちゃ凄い歌を歌うからな」
 トウェインがこのことを言った、夜の女王はコロトゥーラソプラノの超絶技巧が見られる独唱即ちアリアが二つもあるのだ、毒に二曲目のアリアが凄い。
「復讐は地獄の様にとか」
「あれは凄いな」
 シェリルもそれはと頷いた。
「あの歌は」
「そやな」
「あの歌で注目されてるし」
 魔笛もっと言えばモーツァルトの歌劇の多くの役の中でもだ。 
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