イベリス
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第百十四話 近付きたいその八
「堀内でもです」
「監督になれたんですね」
「この様な輩でも」
速水が言うに指導者失格の輩でもというのだ。
「なれて」
「それでああなったんですね」
「おかしな伝統にしがみつき」
自分達が勝手に思い込んでいるだけのだ。
「そして他チームから選手を掠め取ることばかり考え」
「育成とかグラウンドやスタッフのことはなおざりで」
「親会社の資金がなくなれば」
「ああなったんですね」
「そして弱いうえに不祥事ばかり起こすので」
このこともあってというのだ。
「人気もです」
「落ちたんですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「それが今の巨人です」
「弱くなって当然ですね」
「はい」
まさにとだ、咲に対して答えた。
「あのチームは」
「それでスポーツマンシップもですね」
「ありません」
「イギリスと違って」
「そうです。巨人はその全てが反面教師です」
そう言っていいチームだというのだ。
「あれだけ悪い存在はありません」
「何もいいところはないですね」
「ああなったはいけませんとです」
その様にというのだ。
「神仏が見せたかの如きです」
「ああなってはいけないっていう見本ですね」
「そうです、堀内はその中でもです」
「最たる人ですね」
「実力はありました」
ピッチャーとしてのそれはだ。
「ですが他にはです」
「何もないですね」
「野球理論もないので」
「人に教えることもですね」
「出来る器ではありません」
「そんな人がコーチで監督で」
「巨人はさらに悪くなったのです」
「元々悪いことばかりしていたのに」
「堀内が監督になり」
そうしてというのだ。
「そうしたことが一気に表面化して」
「ああなったんですね」
「そうです」
「そうですか」
「間違ってもこんな人の部下にはなりたくないとです」
その様にというのだ。
「誰もが思うでしょう」
「担任になったら嫌ですね」
咲は実際に極めて嫌そうに言った。
「そんな暴力振るう人は」
「そして自分には甘く」
「他の人に厳しいなんて」
「勿論教師の資質なしです」
堀内はというのだ。
「全く」
「そうですよね」
「監督として失格でしたがそもそもコーチとしても」
「資質がなかったんですね」
「ですが巨人なので」
このチームの選手だったからだというのだ。
「名球会にまで入った」
「コーチでいられてですか」
「監督にまでです」
「なったんですね」
「人望もなかったですし」
「ある筈ないですね」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
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