X ーthe another storyー
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第三十三話 初戦その七
「いいわね」
「そうすればいいんですね」
「物事は案外簡単なものなのよ」
火煉はこうも言った。
「これがね」
「そうなんですね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「難しく考えないで」
「考えることですか」
「そしてね」
「答えが出たなら」
「その為に戦えばいいわ」
「わかりました、ですが」
火煉の火を自分の力で相殺しつつだ、哪吒は言った。
「敵である僕にそう言ってくれるなんて」
「おかしいかしら」
「はい、不思議です」
「敵であってもね」
それでもとだ、火煉は哪吒にまた答えた。
「言いたくなったからよ」
「僕に言うんですか」
「ええ、今は落ち着けてきているわね」
「皆さんと一緒にいてもお家にいても」
「それならよ」
「そうしたところで過ごして」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「考えていくといいわ」
「わかりました」
哪吒も頷いてだった。
戦いを続けた、だがここでだった。
星史郎は昴流に式神、無数の烏のそれを放ち昴流が放った白鳩達に相殺されるのを見て微笑んで言った。
「あの時よりも遥かにです」
「腕を上げましたか」
「成長しましたね、昴流君」
従兄が従弟に言う様な優しい声であった。
「とても。お陰でです」
「どうしたんですか?」
「本当はここの結界を破壊するつもりでしたが」
中野サンプラザがそうであるそれをというのだ。
「もう式神がなくなりました」
「そうなのですか」
「まだ力を出せますが」
それでもというのだった。
「また後日ですね」
「また、ですか」
「またお会いしましょう」
ここでも優しい声であった。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「昴流君を咲に進ませてあげましょう」
「僕を先に」
「何時までも立ち止まっていても仕方ありませんね」
こう昴流に言うのだった。
「ですから」
「僕が立ち止まっている」
「違いますか?」
昴流にそのことを問うた。
「それは」
「・・・・・・わかりません」
これが昴流の返答だった。
「そう言われましても」
「そうですか。ですが」
「それでもですか」
「僕が見たところです」
「そうだからですか」
「申し上げました」
そうしたというのだ。
「それだけのことです、ですが」
「それもですか」
「先に進ませてあげましょう」
またこう言うのだった。
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