仮面ライダー電王 約束の場所
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第八章
起き上がった良太郎はさらに破壊した店の中を見回す。飴を探しているのだ。
「何処や、飴は何処や!」
「何処やって何をやってるんだ!」
「いい加減にしないと警察が来るぞ!」
早速来た。しかも十人程度で。
「あの男か」
「はい、そうです」
何処からか誰かが呼んだらしい。その誰かが警官を良太郎の方へ案内してきている。
「こら、そこの君!」
「破壊活動は止め給え!」
「むっ、ワルモンか!」
何故かこう判断する。そして。
「ワルモンは倒さなあかん。覚悟せい!」
「だから止めろ!」
「警察に喧嘩売ってどうするんだ!」
「あれは警察やない!変装しとるだけや!」
「そんな筈がない!」
「だからあんたは大人しくしろ!」
「うおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーっ!!」
二人の制止も聞かずに傍にあった木を根っこごと思いきり引き抜いてそれを振り回して大暴れして周囲を大混乱に陥れた。数分後その場に立っているのは良太郎だけだった。あの泣いていた女の子は何時の間にか何処かへ消えてしまっていた。ついでに良太郎、いや彼に乗り移っているキンタロスもそんなことは完全に忘れてしまっていた。
そして。紙を周囲に放り投げ撒き散らしつつ言うのだった。
「涙はこれで拭いとき!」
そう言い残しその場を後にするのだった。後には破壊し尽くされた店と引っこ抜かれた木、倒れ伏す警官達が残されている。その中には矢車と影山もいる。仰向けに倒れている矢車が自分の側にうつ伏せになっている影山に対して問うた。
「・・・・・・相棒今のは何だったんだ」
「わからねえよ兄貴」
影山にも訳がわからなかった。こう答えるしかなかった。
「世の中わからねえことが多過ぎるよ」
「そうだな」
こう言い合うしかなかった。良太郎、そしてキンタロスと矢車、影山の出会いだった。
神代剣はディスカビル家の主に戻っていた。あの屋敷で爺やと共に暮らしている。元の生活に戻ったが会社の経営にはタッチしていないのだった。
「いい、剣君」
「何だ、ミサキーヌ」
二人は爺やと共にある喫茶店にいた。そこで紅茶を飲みながら話をしていた。
「今月で赤字はかなり減ったわ」
「我がディスカビル家の赤字がか」
「ええ。それでね」
「俺が倒したワームやモンスターの分だな」
「今月随分倒したのね」
「大したことはない」
神代にしてはそうであるようだった。平然と紅茶を飲みながら述べる。
「あの程度は俺にとってはな」
「そうなの」
「それはそうとミサキーヌ」
にこやかに笑って岬に声をかける。
「今日はもう暇なのか?」
「ええ、まあ」
神代の問いに答える。
「そうだけれど」
「なら話は早い。これからデートをしないか」
「デート!?」
「そうだ。俺も今は暇だ」
「暇だって剣君は会長よ」
一応はそういうことになっている。もっとも彼が経営をできる筈もないので実質的な経営は社長兼秘書である彼女が務めている。なお身の回りのことは相変わらず爺やが行っている。
「そうそう遊んでいたら」
「遊んでいるのではない」
本人にその自覚はない。
「俺はミサキーヌとデートをしたいだけだ」
「それが遊んでいるっていうのよ」
「駄目なのか?」
「確かに最近まで出ていたあのイマジンっていうのも見なくなったけれど」
彼等もまた戦い続けていたのである。神代もライダーであり続けているのだ。
「それでも。今は」
「駄目なのか」
「夕方になったらね」
時間を指定してきた。
「時間があるけれど」
「では夕方か」
「ええ。爺やさん」
「はい」
爺やはその穏やかな笑みで岬の言葉に応える。
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