仮面ライダー電王 約束の場所
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第二章
「ああ、お久し振りです」
その怪しい格好で二人にも挨拶をする。そのうえで何処からか飴玉を出してきた。
「挨拶にこれを」
「あっ、キャンディー」
「有り難う」
「デネブキャンディーです」
相変わらずかなり怪しい名前のキャンディーだった。それを二人と愛理にも配る。
「どうぞどうぞ」
「有り難うございます」
愛理はその清らかな笑みを浮かべてデネブに礼を述べる。
「ではすぐにも」
「どうぞどうぞ」
「それはそうとしてデネブ」
暫く忘れられていた良太郎がまた彼に声をかけてきた。
「んっ!?」
「侑斗達が来てるんだって?」
「おお、それだそれ」
言われてそれを思い出すデネブだった。左手を拳にして右手の平をポン、と打った。
「それなんだよ。じゃあ行くか」
「何処に行くの?」
「決まってるじゃないか。デンライナーだよ」
こう良太郎に説明する。
「じゃあ行こう」
「その前に。ちょっと待って」
さっき愛理に出されていたグラタンに顔を向ける。
「これ食べてからでいいよね」
「おお、いいぞ」
それに頷くデネブだった。
「ささ、早く早く」
「うん」
とりあえずそのグラタンを食べてからデネブと一緒にミルクディッパーを出る。するといきなり店の外にデンライナーが止まっていた。
「相変わらず凄い出方だね、何か」
「何、気にすることはない」
デネブにとってはそうだった。周りの母娘が引いているのは目に入っていない。
「何処にも被害は出ないんだからな」
「そうかなあ」
良太郎はその思いきり引いている母娘を横目で見ながら応える。
「あまりそうは思えないけれど」
「それでだ、野上」
殆ど良太郎に構わず言葉を続けるデネブだった。
「早く乗ってくれ。皆待っているぞ」
「う、うん」
デネブに言われるまま車両の中に入ろうとすると。それより前に車両の扉が開いた。そしてそこから顔を出してきたのは。
「良太郎、待ってたわ」
「ハナさん」
白いフリルの上着に黒い同じくフリルのミニスカート。黒いタイツが艶かしい。髪はロングにしている。それは。
「あれっ、どうして」
良太郎はハナの姿を見て驚きの声をあげる。
「元に戻ったの?」
「私も呼ばれたのよ」
こう良太郎に説明する。
「皆に。あと小さい私に」
「そうだったんだ。じゃああのハナさんも」
「ええ、中にいるわ」
こう良太郎に告げる。
「ちゃんとね」
「ハナさんが二人なんだ」
良太郎はそれを聞いてあらためて考える顔になる。
「何だか凄いことになってるみたい」
「だから良太郎にも来てもらうのよ」
そういうことだった。
「わかったわね」
「うん。じゃあ」
「さあ、デネブも」
一緒にいるデネブにも声をかける。
「早く乗って」
「わかった。じゃあ」
「ええ」
ハナに急かされる形でデンライナーに乗り込む。デンライナーが出発し姿を消すとミルクディッパーの扉から三浦と尾崎が出て来た。愛理も一緒である。
「あれ、もう行ったんだ」
「最近良太郎動きが早くなったな」
「まだお料理あったのに」
ハナは困った顔を作っていた。
「ドリアンとニラとニンニクのジュースが」
何処でそんなものを作ろうと思ったのか甚だ不明の一品である。何はともあれ良太郎はそのジュースを飲まずに済んだ。デンライナーの中に入るとあのいつもの面々が揃っていた。
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