神々の塔
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第三十二話 荒野の蛇その七
「そんなことはしない」
「絶対に」
「奈良の鹿達とは違う」
断じてというのだ。
「あの様な傍若無人の輩共と一緒にしないことだ」
「カンガルーとも」
「あの者達とも違う」
断じてというのだ。
「しかと道理は弁えている」
「ほなちゃんとですか」
「働いていてな」
自らの司るものについてというのだ。
「供えられたものやそこにあるものでだ」
「満足していますか」
「神罰を下す時もある」
これはというのだ。
「だがそれも相当なことをした時でな」
「人が」
「普段はな」
あくまでというのだ。
「普通にだ」
「接していますか」
「そうだ、間違ってもだ」
それこそというのだ。
「奈良の鹿やカンガルー達の様なことはない」
「神霊さん達は」
「流石に同じとは思っていないな」
「それはちゃいます、あの連中は神様の使いです」
中里もそれは否定した。
「神様やないです」
「神の使いだから甘やかされているか」
「マスコットにもして」
「ゆるキャラのモチーフもしておるな」
「あのえらい気持ち悪い」
またあのマスコットの話もした、このマスコットについては中里だけでなく他の九人も頷いて話を聞いていた。
「あれも」
「起きた世界のものだな」
「起きた世界の平城京に憑いてます」
「まるで怨霊だな」
「妖怪やって言われてます」
中里はユルルングルにもこう話した。
「ほんま気持ち悪くて」
「成程な」
「それでそのゆるキャラともですか」
「我々は違う」
断じてというのだ。
「そのことはだ」
「安心してええですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「別に我々をそうしたもののモチーフにしてもいいがな」
「ゆるキャラの」
「最近人界ではそれが定着したそうだしな」
この世界でのというのだ。
「構わない、だがな」
「気持ち悪いゆるキャラにはですか」
「してもらいたくない」
絶対にというのだ。
「そこは断っておく」
「そうですか」
「こんなことでどの神霊も神罰は下さないが」
それでもというのだ。
「注意することだ」
「わかりました」
「ではだ」
ユルルングルはあらためて言った。
「これよりな」
「戦ですね」
「それに入るか」
こう言うのだった。
「これから」
「はい、ほな」
中里も一行を代表して応えた。
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