イベリス
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第百十三話 本格的な秋その三
「あそこってシャワー浴びて身体洗っても泡洗い落とさないのよね」
「そのシャワーでね」
「泡をそのままタオルで拭いて終わりね」
「食器を洗った時もよ」
「食器の泡を拭き取って終わりね」
「お水で洗い落とさないわ」
「そうよね、その国それぞれでも」
咲は母に考える顔で答えた。
「最初そう聞いてね」
「驚いたわね」
「イギリスはそうなのねってね」
「その国それぞれよ」
「私が今言った通りに」
「そうしたこともね」
「そうなのね」
「その国それぞれの文化や習慣があることもね」
「頭に入れることね」
「それで理解することよ」
こう娘に言うのだった。
「わかったわね」
「ええ」
咲は素直に頷いて応えた。
「そのことは昔から言われていたけれど」
「その国の事情もあるしね」
「そうした考えでいるわ」
「それも大事よ、日本だってね」
他ならぬ自分達の国もというのだ。
「色々とね」
「そうしたことがあるわね」
「独自の文化や風習がね」
「そうよね」
「そしてそれがかなり独特で」
日本のそれはというのだ。
「他の国の人達も驚いている位よ」
「それも言われたわ」
咲はまた思い出して応えた。
「そうね」
「そうでしょ、本当にね」
「日本もそれは同じで」
「むしろ世界的にね」
「日本はそうしたことの多い国ね」
「日本語もね」
「平仮名と片仮名と漢字があって」
「文法も英語や中国語と全然違っていてよ」
このこともあってというのだ。
「凄くね」
「世界的には独特の言葉なのよね」
「こんな変わった言葉他にないってね」
その様にというのだ。
「言われてるわ」
「学校でも外国の子皆そう言うしね」
「日本語がそうで」
日本の根幹を為すものの一つと言っていいそれもというのだ。
「他の文化や風習もね」
「独特ね」
「世界の中でね、お刺身やお寿司にしても」
こうした食べものもというのだ。
「生の魚介類だし」
「食べない国多いし」
「イギリスでもでしょ」
今話したこの国にしてもというのだ。
「生のお魚食べないでしょ」
「それも言われたわ、というかね」
「というか?」
「烏賊もね」
この生きものもというのだ。
「食べないし」
「あそこはそうなのよね」
「何か食べものとね」
烏賊をというのだ。
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