星河の覇皇
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十四部第四章 続く会談その四十二
「地球にあった頃から」
「インドと呼ばれていた時からでしたね」
「あの国は外交を得意としていて」
「実に巧みに国益を得る」
「そうしてきていますね」
「そう、だからね」
それ故にというのだ。
「あの国は我々が何を言ってもね」
「無視することもしますし」
「詭弁を言う可能性もありますね」
「そうしてこの場合エウロパと交流を深めていき」
「あの国の発展に力を貸しますか」
「それを行っているのは誰か」
今度は人物の話もした。
「それはね」
「ジャバル副主席ですね」
「あの方がその為に動いていますね」
「どうやら」
「そうしていますね」
「彼は有能ではあるわ」
伊東はこのことは間違いないとした。
だがそれでもとだ、スタッフ達にさらに話した。
「けれどね」
「それでもですね」
「抜け目のない人物ですね」
「謀略家であり冷徹でもある」
「そうした人物ですね」
「国益を求めているわ、そして」
ジャバルについてさらに話した。
「彼はそれ以上に餓えているわ」
「餓えているとは」
「どういうことですか」
「一体」
「そうした人ですね」
「そうよ、アウトカースト層ね」
ヒンズー教での被差別階級にある者であることをだ、伊東はここで指摘した。
「そうね」
「不可触民ですね」
「ヒンズー教で極めて迫害され国民にも入れられていなかった」
「そうした層の人ですね」
「それは実に有名ですね」
「そこから出て来た人物だからこそ連合では人気があるわ」
絶大なそれがあるというのだ。
「実にね」
「左様ですね」
「あの方は連合ではかなりの人気があります」
「差別をものともせず今の地位にまで上がった」
「その為にですね」
「連合は階級を否定しているわ」
そもそもというのだ。
「だから本質的にカースト制度も否定的よ」
「左様ですね」
「それが為にジャバル副主席は人気があります」
「差別をものともしない有能な人物として」
「彼を嫌う人はいない位です」
「私も嫌いではないわ」
個人的感情としてとだ、伊東は述べた。
「けれどね」
「それでもですね」
「政治家としての彼はどうか」
「マウリアの政治家としてはどうなのか」
「ええ、アウトカースト層の権益拡大と社会的地位の向上にね」
この二つにというのだ。
「餓えているわ」
「そこへの上ですか」
「アウトカースト層つまりご自身達の階級のことが念頭にある」
「そうした方ですか」
「そうよ」
まさにというのだ。
ページ上へ戻る