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ボランティアに連絡する理由

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第二章

 その後でだ、新入りの職員が彼に尋ねてきた。
「あの、生きものが来たら」
「絶対にだな」
「保護して里親を探してくれるボランティアの人達にです」
「真っ先に連絡しているな」
「それはやっぱり」
「ああ、保健所でも里親募集しているけれどな」
「限度がありますね」
 新入りの職員もわかっていた。
「どうしても」
「だからな」
「ああしたですね」
「ボランティアの人達にもな」
「すぐに連絡して」
「そちらからもだよ」
 ボランティアの団体からもというのだ。
「飼い主の人をな」
「探してもらうんですね」
「そうした人が多い方がな」
「保護された犬や猫も助かりますね」
「命を粗末に扱うなんてな」
 そうしたことはというと。
「殆どの人が嫌だろ」
「そうですね」
 新入りの職員もそれはと頷いた。
「やっぱり」
「だからな」
 それでというのだ。
「いつもな」
「生きものが連れて来られたらですか」
「真っ先にだよ」
「ボランティアの人達に連絡していますね」
「それでああした人達は本気でな」
「生きものに助かってもらいたいとですね」
「思って行動するからな」
 だからだというのだ。
「いいんだよ」
「そうですね」
「折角の命だ」
 この世に生まれたというのだ。
「殺処分で終わるよりもな」
「ここで、ですね」
「飼い主さんと一緒に暮らしてだ」
「天寿を全うする方がいいですよね」
「だからな」
「ああしてですね」
「いつも連絡するんだ」
 生きものが連れて来られたらすぐにというのだ。
「所長さんもそうしてくれって言ってるしな」
「これからもですね」
「連絡していくぞ、いいな」
「はい」 
 新入りの職員も頷いた、そうしてだった。
 保健所全体でボランティアの人達にも協力を要請していった、事実この保健所では命を失う生きものは殆どいなかった。害獣指定された生きものは別としてそうなった。梅野はそうした状態をこれからも維持していこうと思いボランティア団体と連絡をして協力を頼んでいった。


ボランティアに連絡する理由   完


                 2023・8・21 
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