星河の覇皇
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第八十四部第四章 続く会談その三十八
「連合の歴史の中でもね」
「それは確かに有り得ますね」
「今は外務省と内務省だけの様ですが」
「それがですね」
「中央政府全体となることもですね」
「有り得ますね」
「ええ、そうなったら」
中央政府全体が敵となればというのだ。
「その場合はね」
「余計に厄介ですね」
「外務省と内務省の二つでも厄介ですが」
「それが中央政府全体となると」
「かなりのものですね」
「そう、もう中央政府と各国政府の全面対決になれば」
その場合はというのだ。
「もうね」
「際限がないですね」
「全力の綱引きとなり」
「おいそれとは終わるものでもなくなりますね」
「その場合は」
「そうなるわ」
まさにというのだ。
「かなりの規模でね」
「そこまで至りますと」
「我々も悠長には言っていられなくなりますね」
「今の様に」
「どうしても」
「ええ、敵を本気にさせない」
伊東はこうも言った。
「それもまたね」
「戦い方ですね」
「政治のそれですね」
「左様ですね」
「そうよ、勝つにはね」
政治的にというのだ。
「そうしたこともね」
「すべきですね」
「全面対決に持ち込まない」
「それも戦略ですね」
「そのうちの一つですね」
「本気でない相手ならね」
それが例えどういった大きな相手でもというのだ、伊東は微笑みつつその目の光を鋭くさせてスタッフ達に話した。
「色々有利ね」
「その通りです」
「本気でないならです」
「士気も落ちますし」
「また出してくる戦力も少ない」
「そこに勝機が出来ます」
「ベトナム戦争で何故ベトナムが勝ったか」
二十世紀後半のこの戦争でというのだ。
「それはね」
「アメリカを本気にさせなかった」
「それ故ですね」
「アメリカ市民にも喧伝して」
「そして国内に厭戦気分を起こした」
「それで本気にさせませんでしたね」
「そうよ、政治はどうして国益を得るか」
それを考えるものでというのだ。
「当時のベトナム、北ベトナムの国益はね」
「如何にしてアメリカを退かせ」
「南北を統一するか」
「それが国益でしたが」
「その国益の為にですね」
「政治的に喧伝を行ってね」
そしてというのだ。
「世界的にアメリカを批判させて」
「そしてですね」
「さらにでしたね」
「アメリカ国内にも訴えた」
「それで、でしたね」
「アメリカは一丸となれなかったわ」
この辺りは七月四日に生まれてという映画にもある、アメリカ国内はこの戦争で大きく揺れ動いたのだ。
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