イベリス
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第百十二話 九月が進みその三
「避難するんだ」
「それも絶対よね」
「咄嗟に起こってもな」
自身は常に突然起こる、だからこそ怖いのだ。
「まず火を使っていたらな」
「それを消して」
「それからだ」
「避難するのね」
「テーブルの下に隠れるんだ」
「そうした場所に」
「それでだ」
そのうえでというのだ。
「自分を守るんだ、地震の時の火事もな」
「怖いわよね」
「これでもかなりの人が死んだんだ」
「関東大震災でも」
「丁度お昼に起こってな」
関東大震災はだ。
「学校がはじまってな」
「皆帰ってきて」
「今からな」
昼食を食べようとだ。
「その時だったからな」
「余計に悪かったのね」
「そうなんだ、火はな」
「地震の時も危険ね」
「地震も怖いがな」
これ自体もというのだ。
「そっちも起こったらな」
「余計に危ないから」
「だからな」
咲に真剣な顔で言うのだった。
「注意するんだぞ」
「そうしたことも」
「いいな」
「ええ、災害が起こらない様にで」
「起こってもな」
「被害は最低限ね」
「自分も助かるし他の人もな」
「助かるから」
「だからな」
それ故にというのだ。
「火の元はな」
「しっかりと消すことね」
「地震の時も言われてるだろ」
「そうね、避難するにもね」
「まずは火の元をちゃんとしてな」
そうしてというのだ。
「それからな」
「避難することね」
「地震でも冷静になってな」
「そうしたことをして」
「それから避難するんだ」
「さもないと大変なことになるわね」
「あと何とかモコもな」
父は一家の中の彼女にも顔を向けて咲に話した。
「連れて行くんだ、出来たら避難している間預かってくれるところがあったらな」
「そこにモコを預けるのね」
「避難する場所で生きものも苦手な人もいるからな」
この可能性があるからだというのだ。
「避難先にはな」
「犬とか猫とか連れていきにくいわね」
「だからな」
こうした事情があるからだというのだ。
「モコはな」
「一緒に避難させて」
「出来たらな」
「そうしたところに預かってもらうのね」
「最近そうしたこともしてくれる人達もいてくれてるからな」
「それは有り難いわね」
「ああ、地震とか災害は起こるものだ」
父は咲に真剣な顔で話した。
「いきなりな」
「どうしてもね」
「東京はそこが危ないしな」
「よく言われるしね」
「あとそうした時にもマスコミがやらかすけれどな」
この業界の常である、報道の自由を口実に横暴と独善をこれ以上はないまでのマナーで行う連中であるのだ。
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