天国の猫への手紙
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第一章
天国の猫への手紙
ネヴァ=リングイギリスのサリー州ウォルトン=オン=テムズに住んでいる五歳になるブロンドの髪を後ろで束ねた少しふっくらした黒い目の女の子は今手紙を書いていた、それを見て彼女がそのまま成長した様な容姿の母のタマラと彫のある端整な顔立ちで黒髪に黒い目で長身の父のウィリアム二人でパン屋をしている彼等は話した。
「ネヴァタンタンにね」
「手紙を書いてるのか」
「そうなの」
部屋にかけてある白黒の八割れの猫の写真、先日亡くなった家の雄の老秒の写真を観ながら夫に話した。
「今ね」
「そうなのか」
「あの娘が一番タンタンと仲良しだったでしょ」
「いつも一緒だったからな」
「亡くなった時も一番悲しんでいたし」
「泣いてな」
「だからね」
その為にというのだ。
「今はね」
「手紙を書いているんだな」
「そうしているの」
「見守ろうか」
これが夫の考えだった。
「僕達があれこれ言っても」
「こうしたことはね」
「何にもならないよ」
「お手紙送っても意味はないって」
「ああ、それだけタンタンを愛していたということだし」
「何も言わないでね」
「やりたい様にやらせてあげよう」
夫婦で話して娘を見守ることにした、やがてだった。
手紙を書き終えた娘は切手まで貼って天国の愛猫、家族だった彼に手紙を送った。すると暫くしてだった。
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