遭難者に寄り添った犬
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第二章
「この娘がいてくれまして」
「クゥ~~~ン」
「助かりました、いつも寄り添ってくれて癒されました」
「一人よりずっといいですね」
「本当に」
「その娘はご家族ですか」
「いえ、メキシコからシドニーに戻る時に」
その時にというのだ。
「急に船に乗り込んできて懐いてきて」
「それで、ですか」
「追い払うにもしのびなくて」
それでというのだ。
「乗せたんです」
「そうでしたか」
「この娘に助けられました」
シャドックはベラを愛し気に観ながら話した。
「本当に」
「その娘は神様が貴方を助ける為に送ったかも知れないですね」
「全くですね」
「ですがオーストラリアは他国から生きものを入れる際法的に色々規制があり入れるにはかなり手間とお金がかかります」
ここで船長はこのことを話した。
「ですから」
「この娘とはですか」
「シドニーには戻れないです」
「そうですか、仕方ないですね」
シャドックはこの言葉を残念に思いながらも頷くしかなかった、そしてだった。
ベラは船の中で話した後で若い船員の一人ナロ=ロザレス長身で褐色の肌を持つ端整な彼が飼うことになった、ロザレスはシャドックに話した。
「絶対にです」
「ベラはですね」
「大事にしますので」
「宜しくお願いします、ではメールアドレスを教えるので」
シャドックはロザレスに笑顔で話した。
「ベラの画像や動画をです」
「送りますね、貴方に」
「宜しくお願いします」
「わかりました」
ロザレスは笑顔で約束した、こうして二人はパソコンや携帯電話で連絡を取り合う中になり定期的にだった。
シャドックはロザレスと彼の家で幸せに過ごすベラを見ることが出来る様になった、彼を助けた心優しい犬は今は幸せの中にいることをその都度見て笑顔になったのだった。
遭難者に寄り添った犬 完
2023・8・17
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