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神々の塔

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第三十一話 天平の宴の後でその六

「それでやな」
「そや、お寿司がないのが」
「残念やな」
「奈良時代のお料理はな」
「あるにはあるけどな」
 芥川は難しい顔で述べた。
「馴れ寿司やさかいな」
「あれは癖が強い」
 リーが微妙な顔で応えてきた。
「味も匂いもな」
「握り寿司や巻き寿司よりもな」
「発酵させてるからな」
「時間をかけてな」
「元々握り寿司とかは馴れ寿司の代用品やった」 
 リーはこのことも話した。
「作るのに時間がかかる馴れ寿司に対してや」
「握り寿司や巻き寿司はすぐに出来る」
「ちらし寿司もな」
「それでや、江戸時代にな」
「江戸の街で出て来たな」
「最初は屋台で出て」
 それがはじまりだったのだ。
「それでや」
「定着したな」
「そやった、それで江戸時代以前のお寿司はな」
 芥川はあらためて話した。
「馴れ寿司や」
「そっちやな」
「そやから僕等がイメージするお寿司はな」
「奈良時代とかにはないな」
「鮒寿司とかな」 
 近江今の起きた世界の滋賀県の名物である、鮒の馴れ寿司であr。
「そういうのや」
「あれもかなり癖が強いな」
「そやろ」
「ああ、珍味と言えば珍味やが」
 リーはどうにもという顔で話した。
「癖が強くてな」
「好き嫌いが分かれるな」
「どうもな」
 このことは否定出来ないというのだ。
「そうしたお料理やろ」
「僕もそう思うわ」
 芥川もその通りだと返した。
「ほんまな」
「そやな」
「うちもお寿司大好きやけど」
 綾乃も言ってきた。
「江戸時代以前はないさかい」
「それがやな」
「残念やわ。天麩羅とか蒲焼もないし」
 こうした料理もというのだ。
「そこが残念やわ」
「蒲焼、鰻やな」
「それもなかってん」
 江戸時代以前はというのだ。
「ほんまに」
「それはかなりな」
「寂しいやろ」
「ああ、鰻を美味しく食べようと思ったら」
「蒲焼きやね」
「あれがな」 
 何と言ってもという口調での言葉だった。
「鰻を食べるにはや」
「一番やね」
「私としてはな」
「うちもやで。鰻丼大好きやで」
 綾乃はにこりと笑って話した。
「蒲焼も肝吸いも」
 こうしたものもというのだ。
「それでその中でも」
「鰻丼やな」
「鰻丼最高や」
 笑顔で言うのだった。
「ほんまに」
「私もや。ただな」
「ただ?」
「いや、オーストラリアはイギリスの植民地やったな」
 シェリルは起きた世界のことを話した、オーストラリアのはじまりはそうであり今もイギリス連邦の一員であるのだ。 
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