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羊のバーベキュー

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第二章

「あれっ、美味しいな」
「そうね」
「柔らかくて癖もない味で」
「しかも脂もそれなりにあって」
「牛肉や豚肉も美味しいけれど」
「羊も」
「そうだろ、羊は美味いんだよ」
 古田は自分も食べつつ同僚達に笑顔で話した。
「それに匂いだって慣れたらな」
「マトンのそれも」
「いい匂いですね」
「美味しいってわかったら尚更ですね」
「そう感じますね」
「そうだろ、しかもな」
 古田はさらに言った。
「羊の肉は身体の脂肪燃やしてくれるしな」
「あっ、ダイエットにもいい」
「そうなんですね」
「身体の脂肪もそうしてくれるので」
「そうなんだよ、だから余計にいいんだよ」
 こう言ってやはり自らも食べた、そうしてだった。
 レクレーションに参加した社員達の多くが羊肉も堪能した、それからこの会社ではバーベキューの時羊の肉も用意される様になったが。
 何故羊の良さを知ったのか、古田は同僚達に聞かれると笑顔で答えた。
「そりゃ俺の実家ジンギスカン鍋屋だからさ」
「ああ、だからですか」
「ご実家で扱ってるからですか」
「よくご存知ですか」
「そうなんだよ、店は今兄貴が継いでるけれどな」
 それでというのだ。
「よかったら来てくれよ」
「そうさせてもらいます」
「いや、最初羊のお肉までって言い出して」
「何考えてるんだって思いましたけれど」
「羊もまたよしですね」
「そうさ、羊の肉もいいからな」 
 それでというのだった。
「皆どんどん楽しんでくれよ」
「そうさせてもらいます」
 皆笑顔で応えた、そうしてだった。
 レクレーション以外の時も羊肉を食べる者が増えて古田の実家の店に行く者も出た、その誰もがその美味さに舌鼓を打ったのだった。


羊のバーベキュー   完


                      2023・8・16 
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