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セレブ妻の喫茶店

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第一章

                セレブ妻の喫茶店
 タワーマンションの最上階で一家で暮らしている長島美奈子は喫茶店を経営している、世界的な企業グループ八条グループの系列企業の社長である夫の柊のお陰で安定した収入があるが彼女もそちらで働いていた。
 所謂金持ちの道楽だ、そう言われていたが。
「いや、お店の中ちゃんとしてて」
「コーヒーもお菓子も美味しくて」
「値段も良心的で」
「いいわね」
「やるからにはちゃんとよ」
 切れ長の長い睫毛の二重の目と奇麗なカーブを描いた眉を持ち顎はすっきりとしていて紅の唇が大きい。長い黒髪は奇麗で一六二位の身体で白いブラウスと黒いエプロンにズボンからでもよくわかる見事なスタイルだ、それが美奈子であり常連の客達に笑顔で言った。
「実は学生時代ずっと喫茶店でアルバイトしていてね」
「それでなの」
「喫茶店が好きでなの」
「知識もあるし」
「お店やってるのね」
「そうよ、趣味というかね」
 真顔で言うのだった。
「主人も真剣にやるならってお金出してくれたし」
「お仕事ね」
「それでやっていってるのね」
「そうなのね」
「そうy9お、黒字だってね」
 そうした経営もというのだ。
「ちゃんとね」
「なる様にしてるのね」
「ちゃんと」
「そうなのね」
「ええ、そうよ」
 こう言ってだった。
 美奈子は実際に喫茶店の経営を真面目にしていてただ美味しくて奇麗な内装と良心的な接客だけでなくだった。
 値段や色々な経費のことも真面目にやっていった、それでアルバイトに採用されている女子大生の牧柳茶色のロングヘアで楚々とした顔立ちで一五〇位の背ですらりとしたスタイルの彼女が言ってきた。
「あの、店長さんってご主人社長さんですよね」
「ええ、そうよ」
 美奈子も否定しなかった。
「毎日忙しいからお料理はいつも健康なものを心掛けてるわ」
「それでタワーマンションの最上階に暮らしておられますね」
「そうだけれど」
 このこともその通りだと答えた。
「どうかしたの?」
「いえ、お金持ちですよね」
 柳はこのことを言うのだった。
「かなり」
「だからお店のことはなの」
「別に黒字でなくてもいいんじゃ」
「そうはいかないわよ、お店をやるからにはよ」
 真面目な顔での返事だった。 
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