ハッピークローバー
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第九十話 欲情の自覚その四
「手位じゃね」
「そうなの」
「せめてキスでしょ」
「うわ、無理よ」
「無理でも私達位だと」
「もうゴムまでなの」
先程の店長との話を思い出して話した。
「使って」
「そうでしょ」
まさにというのだ。
「もうね」
「そうなのね」
「だから手をつなぐなんて」
こうしたことはというのだ。
「ほんのよ」
「序の口?」
「それすらなっていないね」
そこまでのというのだ。
「些細なものよ」
「そうなのね」
「せめてキス位でないと」
一華にむっとした顔で話した。
「言わないでしょ」
「そうなのね」
「どうも皆そこまでいってないみたいだけれど」
「そう言うあんたも」
「まだよ」
富美子は自分から告白した。
「してないわよ」
「そうなのね」
「何かね」
顔を赤くさせてだ、富美子はこうも言った。
「キスも怖いでしょ」
「そうそう、どうもね」
それはとだ、留奈が応えた。
「するってなると」
「自分がね」
「もう昔風に言うと」
それならとだ、留奈は理虹にボールをレシーブで出しつつ言った、見ればボールのやり取りはそれぞれ不規則である。
「清水の舞台から飛び降りる」
「そんな風でしょ」
「手をつなぐことだって」
一華が言ったこのことさえというのだ。
「もうね」
「そんな風よね」
「それでゴムとかね」
「いや、夢物語ね」
「私達にとってね、けれどよ」
留奈はここで真顔それも口をへの字にさせてこう言った。
「私達の歳だと」
「出来るわよ」
富美子は即答で応えた。
「当然ね」
「そうよね」
「だからおまつさんはね」
「前田利家さんの奥さんね」
「十二歳でよ」
「結婚して」
「すぐにお子さん出来たから」
彼女はというのだ。
「当然私達もね」
「そうしたこと出来るのね」
「おまつさんは極端でも」
それでもというのだ。
「昔は中一位でね」
「結婚してたのよね」
「今は十六歳からでも」
結婚出来る年齢はというのだ。
「昔はね」
「中一、十三歳位で」
「もう結婚してたわよ」
「それで赤ちゃんも」
「いたりしたのよ」
「つまりそういうことしてたってことね」
理虹はこの現実を指摘した。
「そういうことしないと赤ちゃん出来ないしね」
「それ身も蓋もないわね」
かな恵もそれはと言った。
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