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神々の塔

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第三十話 多くの神々その五

「鉄みたいに」
「それで民を酷使してな」
「滅茶苦茶厳しい政してたってな」
「そう言うてたけどな」
「実は」
 これは最近になってわかってきたことだ、出土してきた官吏の木簡等に書かれていたことであったのだ。
「焚書坑儒かてな」
「実は色々あった」
「秦の統治はそんなに酷なかった」
「弾力的で的確で」
「中央集権、統一を進めてたらしいな」
「それであそこまで言われるか」
 トウェインはここまで聞いて述べた。
「ある意味凄いな」
「まあローマ皇帝かてボロクソ言われてたしな」
 メルヴィルは彼等の話を引き合いに出した。
「ネロさんとか」
「あの人も実は暴君やなくてな」
「結構民衆や国のこと考えてな」
「奴隷にも寛容で気前もよくて」
「火災にも積極的に向かったな」
 ローマの大火災である、彼は火の粉がかかることも恐れず陣頭指揮を執りその後の救済にも心血を注いだのだ。
「国をちゃんと治めてた」
「そこそこええ皇帝やったな」
「ネロさんはあれや」
 芥川が言ってきた。
「国家戦略は理解しても自分で軍を指揮出来んかった」
「そこが弱点やったか」
「かっとするとこもあって贅沢やったが」
 そうした欠点もあったと中里に話した。
「まずな」
「軍を指揮出来んかったか」
「自分が率いて戦うことはな」
 それはというのだ。
「出来んでそれでは皇帝は軍の最高司令官のローマではな」
「インペラトールやったな」
「そや、まさにそれが皇帝の名称になった」
 フランス語で皇帝はランペルールとなるがそれはそのままインペラトールのフランス語読みであるのだ。
「そこまでやった」
「そういえばそれまでのローマ皇帝は」
 中里もここで気付いた。
「自分が軍を率いて出陣してたな」
「それがネロさんには出来んかった」
「あの人軍にいたことないさかい」
「それが弱点でな」
 そしてそこを衝かれたというのだ。
「叛乱を起こされて対処出来んで」
「失脚したか」
「自害することになった、しかしな」
「皇帝としてはやな」
「実はそんなに悪くなかったわ」
 芥川から見てもだ。
「この人も始皇帝さんも悪く言われてきた」
「史実よりもか」
「ああ、史実と事実がちゃうことはな」
「よおあることか」
「それで両論併記もや」
「行われるんやな」
「大碓命もな」
 今話している彼もというのだ。
「実はな」
「生きてたか」
「日本書紀の方が正しいかもな」
 彼が生きているこの書の記述の方がというのだ。
「実際に美濃、起きた世界やと今は岐阜県にな」
「神社があるし」
「そうちゃうか」
「そやねんな」
「ああ、それで蝦夷つまり関東はな」 
 この地域のこともだ、芥川は話した。 
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