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ハッピークローバー

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第八十九話 夏休みの宿題その十二

「無理に理解しようとしないで」
「自分で、ですね」
「やるしかないから、まあ八条学園でも中川はね」
「授業酷いですね」
「ああいうのもいるけれどね」
「あんまり酷いんで何度も指導受けて左遷も受けてますね」
「けれどあいつは性根がどうしようもないから」
 店長は嫌そうに話した、
「自分の授業が特別でね」
「自分が考える通りに進めてですね」
「テストもひとりよがりで」
「物凄くわかりにくくしてますね」
「ああいうのもいるけれどね」
 八条学園にもというのだ。
「何度どんな指導を受けても変わらない」
「先生の才能ないんですね」
「ええ、あいつはね」
「迷惑ですね」
「まああんなのもいるけれど」
「少数派ですね」
「あいつ位よ」 
 八条学園の中ではというのだ。
「有り難いことにね」
「よくあれでずっと先生していられますね」
「いや、噂ではね」
「どうしたんですか?」
「二十年以上ああで全く改善しないんで」 
 教師になってというのだ。
「遂に学校追い出されるらしいわ」
「そうなんですか」
「それでどっかのグループの究極の左遷場所の一つにね」
「送られるんですか」
「そう言われてるわ」
「そうなって欲しいですね」
 一華は心から思って言った。
「あいつが先生でなくなったら」
「そうよね、あいつの授業はずっと評判悪いから」
「テストも」
「独りよがりでね」
「自分の為にやってますね」
「生徒に教えるんじゃなくてね」
 そして理解してもらう為でないというのだ。
「あくまで自分がどうか」
「それがわかっていないからあんなので」
「そのあいつがね」
「左遷されるとなると」
「何かどっかの会社の資料整理にね」
「回されるんですね」
「そうした仕事は向いていて」
 そしてというのだ。
「厄介払いにもなるし」
「そっちに左遷ですね」
「そうなるみたいよ」
「じゃあそうなって欲しいです」
 一華は心から思って言った。
「本当に」
「そうね、まあ変な奴が淘汰される場所は」
「それだけでいいですね」
「駄目なのは変な奴がそのまま残る」
「効率の学校みたいに」
「そうしたところがね」
「問題ですね」
「そうよ、じゃあそろそろまた忙しくなるから」
 店長は自分の左手首の腕時計で時間を確認して言った。
「頑張っていくわよ」
「わかりました」
「あとゴムのことといいね」
「大事なことはですね」
「まずは自分でよ」
「勉強して知っておいて」
「出来る様になっておくことよ、自分の為にね」
 このことは念押しして言うのだった、そして五人でこの日も店長と共にアルバイトに励んだのだった。


第八十九話   完


                      2023・6・8 
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