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八条学園騒動記

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第七百十話 多彩な生きもの達その十

「そこに犬を置いたりな」
「柵をもうけますね」
「実際にそうしているしな」
 連合ではというのだ。
「まるで城、街だな」
「城塞都市ですか」
「それの様に堅固な守りでだ」
「連合では牧場を守っていますか」
「高い柵時には鉄条網をもうけ」 
 そこに高圧電流が流れている。
「堀もな」
「もうけるのですね」
「そして狼が来てもだ」
「牧場の中に入られない様にしていますか」
「放牧をしてもだ」 
 その時もというのだ。
「そうしている、時として狼を餌付けして」
「逆に番犬ならぬ番狼にする」
「そうもしている、兎角な」
「連合では狼もですね」
「いい生きものとされている、そしてゴリラはな」
 この生きものの話に戻った、動物園の中のゴリラは家族そして群れで仲良く暮らしていて狂暴さは全く見られない。
「連合ではな」
「いい生きものとされているのですね」
「優しく聡明な」
「そうした生きものですね」
「人を襲うどころかだ」
「他の生きものを襲うこともですね」
「しない」
 絶対にというのだ。
「何しろ完全な菜食主義だからな」
「生きものを襲う必要がないですね」
「そうなのだからな」
「人が襲われることもなく」
「他の生きものを襲うこともな」
「ないのですね」
「だから人がゴリラを観る目もだ」
 動物園は他に客達がいるが彼等もだった。
「暖かい目だな」
「そうですね」
 上等兵も彼等を見て頷いた。
「優しい生きものを観る」
「そうした目だな」
「それがわかっているので」
「だからだ」
 まさにその為にというのだ。
「皆な」
「優しい目で観ているのですね」
「優しい生きものを観るに相応しいな」
 そうしたというのだ。
「そうした目になっている」
「そうですか」
「キングコングという映画があるが」
 この時代では連合各国で製作され上映されている。
「最初は極めて狂暴だった」
「アメリカで製作されたのでしたね」
「二十世紀初頭にな」
「摩天楼で暴れましたね」
「そうだった、しかしな」
「今はですね」
「巨大だが」
 その姿はだ。
「しかしな」
「非常に優しいのですね」
「そうした怪獣と言っていいな」
「連合では怪獣映画も人気なので」
「特撮でな」
「それで、ですね」
「優しい非暴力の怪獣としてだ」
「出ていますね」
「そうだ」 
 この時代の連合映画ではだ。
「聡明でな」
「そう言われると戦うのではなく」
「人を守り知恵を授けてくれるな」
「そうした怪獣なのですね」
「それがキングコングだ」
 連合ではそれで定着しているのだ。 
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