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ハッピークローバー

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第八十九話 夏休みの宿題その三

「ゴムは必要よ」
「私達皆用意はしてますけれど」
 一華がやや微妙な顔で答えた。
「まだです」
「使ったことはないのね」
「はい」
 これがというのだ。
「一度も」
「そうなのね、ただ練習してる?」
「練習?」
「だから付ける練習よ」 
 プールサイドのアイスクリームのコーナーの中で話す、今プールにいる人達は皆店の傍にいないので聞こえない様に配慮しつつも堂々と話していた。
「それはしてる?」
「するものですか?」
「あのね、何でもね」
 店長は笑いつつも真面目に話した。
「練習しないとね」
「出来なくて」
「ゴムを付けることもね」
「練習しないとですか」
「咄嗟にはね」
「出来ないですか」
「私なんてお家の冷蔵庫から茄子とか胡瓜を出して」
 そうしてというのだ。
「そういうのを使ってよ」
「練習されてたんですか」
「そして実際にもね」
「付けて」
「実践もね」
 これもというのだ。
「してたのよ」
「それで出来る様になったんですね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「だからね」
「ゴムを付けることもですか」
「練習をね」
 これをというのだ。
「しておかないとね」
「いざという時にですか」
「付けられないわよ」
「そんなものですか」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「だからね」
「私達もですか」
「普段からね」
「練習しないと駄目ですか」
「さもないといざという時に」
「付けられないですか」
「これはちゃんとしないと」
 一華に真顔で話した。
「駄目よ」
「そうですか」
「恥ずかしいとかまだ早いとかね」
「そう考えたら駄目ですか」
「実際に必要な知識だからね」
「ゴムの付け方は」
「ええ、男の子もね」
 こちらもというのだ。
「こうした知識はね」
「必要ですか」
「そうよ、ちゃんとした子はね」
「知ってますか」
「むしろ知ってないとね」
 そうでないと、というのだ。
「駄目よ」
「そうですか」
「それで女の子もね」
「ちゃんと持って」
「使い方も知らないと」
「それも絶対に」
「そうよ、若し優等生ぶってそんなこと知らないとか言ったら」
 その時はというと。 
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