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X ーthe another storyー

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第二十八話 交錯その九

「今回は趣向を変えまして」
「善哉ですか」
「この前大阪に行った時にです」
「あの街ですか」
「夫婦善哉というお店に入りましたら」
「確かお椀が二つ出て」
「それぞれに善哉が入っています」
 そうした店だというのだ。
「二つですから」
「夫婦ですね」
「そうなのです、そこで食べまして」
「美味しかったんですね」
「ですから今日は」
 封真を見て微笑んで誘いをかけた。
「どうでしょうか」
「二人で、ですね」
「これから善哉でも」
「それでは」
「はい、行きましょう」 
 星史郎はここでも笑顔を見せた、そうして彼を連れて和甘物の店に入った。そして和風の趣の店の中でだ。
 二人用の席に座りそこでそれぞれ善哉を注文して食べはじめた、封真はその善哉を一口すすって言った。
「これは確かに」
「美味しいですね」
「はい、いい善哉です」
「僕も食べてみてそう思いまして」
「俺にですか」
「紹介させてもらいました」
 星史郎も食べている、そのうえでの言葉だ。
「それでお気に召して頂けた様で」
「嬉しいですか」
「それなら何よりです」
「いや、本当に美味しいです」
 封真は食べながら微笑んで述べた。
「この善哉は」
「それは何よりです、ですが」
「ですが?」
「これは独り言ですが」
 こう前置きしてだ、星史郎は話した。
「今度は地の龍の皆さんとです」
「このお店にですか」
「入って。そして」
 そのうえでというのだ。
「決めるべきことを決めたいですね」
「そうですか」
「独り言ですが。それに三人で」
 こうもだ、星史郎は独り言を出した。
「行きたかったですね」
「俺達以外に」
「ははは、無理ですけれどね」
 星史郎はやや乾いた笑顔で述べた。
「このことは」
「そうですか」
「しかし思います」
 そうだというのだ。
「そうも」
「そうですか」
「そしてです」
 さらにだ、星史郎は話した。
「封真君は妹さんとお友達がおられますね」
「小鳥と神威のことですね」
「封真君の思うままに動けばいいですよ」
「そうですか」
「僕が申し上げるのはそれだけです」
 星史郎をサングラスにかけたままで話した。
「君の運命は変わった様ですし」
「そうですか、しかしそれも」
「必然ですね」
「そうなりますか」
「そうです、偶然はなく」
「運命もですね」
「そうであってです」 
 偶然、それを否定して話すのだった。 
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