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星河の覇皇

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第八十四部第三章 円明園の会議その五十一

「彼は他のことは極めて、優秀過ぎる程優秀ではあっても」
「こと恋愛のことについては」
「全く駄目ですね」
「あの資質と端整させそうしたお話がない」
「それはどうしかといいますと」
「彼があまりにも疎いからよ」 
 恋愛、それにというのだ。
「その為よ」
「左様ですね」
「その疎さといいますと」
「長官はその資質と端整さ、そして気品からよく光源氏と言われますが」
「その源氏の君と真逆です」
「そう言っていい方です」
「源氏の君は極端ではあるわ」
 源氏物語がそのまま源氏の君の一台恋愛絵巻であることを見てもだ、とにかくそのことはかなりのものである。
「もうほぼ誰彼なしね」
「人倫に取る行いもしています」
「そうしたこともしています」
「そのことを思いますと」
「源氏の君は確かに極端ですね」
「彼は最早何でもありよ」
 源氏の君の女性遍歴はというのだ、よく言われているが実の母を慕うあまりその面影を追い求め義理の母親とも関係を持つ程だ。
 だが八条、彼はというと。
「けれど八条君はね」
「左様ですね」
「まさにその源氏の君と真逆で」
「そうしたお話が一切ない」
「源氏の君と違い」
「それ故にですね」
「若し彼が源氏の君の十分の一でも恋愛に造詣があれば」
 それならというのだ。
「もうね」
「それならですね」
「もう既にですね」
「長官も結婚をされて」
「そしてお子さんも多くおられますね」
「そうなっていたわ、今源氏の君が実在すれば大問題だけれど」
 それこそスキャンダルの中心になるというのだ、源氏の君の様な華麗と言ってもまだ有り余る女性遍歴を見せれば。
「けれどね」
「それでもですね」
「長官につきましては」
「幾ら何でもですね」
「恋愛に疎すぎますね」
「ええ、だからもうね」
 そろそろという口調での言葉だった。
「私もね」
「長官にですね」
「直接言われますね」
「ご結婚のお話を」
「そうされますね」
「いい人を見付けて」 
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「お見合いですか」
「そちらにお話を向けられますか」
「その様にされますか」
「何でもこのお話も多く来ている様だけれど」
 これは実際のことだ、八条は連合屈指の企業グループの次期総帥でもあるので縁談の話もひっきりなしなのだ。
「それでもね」
「全て断られているそうですね」
「多忙ということで」
「それで、ですね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。 
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