何時の間にか首位交代

「カープ首位になって、このままね」
「優勝？」
「するわ」
「あれは阪神だよ」
　兄はその妹に反論した。
「阪神のものだよ」
「ひっくり返すっていうのね」
「明日から三連戦なんだ」　
　そのカープと、というのだ。
「そこでだよ」
「首位に返り咲くっていうのね」
「絶対に」
　まさにというのだ。
「そうするからな」
「言うわね、けれどね」
「そっちも負けないな」
「勝ってね」
　そしてというのだ。
「首位固めよ」
「言ってくれるな、しかしな」
「それでもっていうのね」
「こっちも負けないからな」
　阪神の方もというのだ。
「絶対にな」
「リベンジね」
「そうだ、やってやるぞ」
「望むところよ、じゃあお互いにね」
「全力でぶつかるぞ」
「応援もね」
　兄妹の間で火花を散らしつつ言い合った、その後で寿は自分の部屋に戻って学校の予習復習に励んだ。
　そして翌日寿は登校してクラスメイト達に言った。
「さて、後半最初の正念場だね」
「阪神広島とあたるからな」
「昨日カープ首位になってな」
「首位攻防戦だな」
「そうなるな」
「いや、開幕前は」
　寿はその時のことを話した。
「ヤクルトを警戒していたけれどね」
「岡田さんも言ってたしな」
「まずは打倒ヤクルトだって」
「二連覇してるしな」
「当然だよな」
「けれどそのヤクルトが不調で」　
　それでというのだ。
「大きな連敗もしたし」
「交流戦にまでな」
「あの時のヤクルト絶不調だったな」
「何でっていう位に」
「そうだったから」
　だからだというのだ。
「横浜を警戒していたけれどね」
「あのチームも強くなったよ」
「去年から」
「三浦監督に優勝した時の人が集まって」
「いい感じのチームになって」
「それで強くてバウアーさんも来て」
　アメリカのメジャーからというのだ。
「一回は首位も奪われて」
「あの時阪神五連敗だったしな」
「ソフトバンクにあと一球から逆転されてから」
「その横浜に三タテも受けて」
「首位陥落したな」
「その後首位奪還したけれど」
　それでもというのだ。
「やっぱりね」
「強かったな、横浜」
「ずっとくらいついてきて」
「厄介だったな」
「その横浜にやられるかもって」
　その様にというのだ。