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第八十八話 通天閣その一

                第八十八話  通天閣
 理虹は古田と団地のある場所の入り口で待ち合わせてそこから地下鉄の駅まで歩いてその地下鉄でだった。
 新世界まで行った、そして。
 新世界に漬くとだ、古田に笑って話した。
「もう大阪の中でもね」
「かなり濃いね」
「そんな感じするわ」
 笑って言う、そして。 
 今の自分の黄色いティーシャツと膝までの黄土色のデニム生地の半ズボンそしてキャップ帽姿で言った。
「それでこのファッションにしたの」
「ラフだね」
「いや、ミニスカも考えたけれど」
 ジーンズと開襟シャツ姿の古田に話した、色は上は白下は青だ。
「露出多いとやばいかなってね」
「思ってなんだ」
「それで半ズボンにしたの」
「靴はシューズで」
「そうしたの、違和感ある?」
 新世界にとだ、古田に尋ねた。
「今の私」
「いいと思うよ、別にお高い場所でもないしね」 
 古田は理虹に微笑んで答えた。
「だからね」
「こうしたファッションでいいわよね」
「新世界はね。ただね」
「ただ?」
「大阪は大抵そうしたファッションでいけるね」
 こうもだ、古田は言った。
「阿倍野とかは別だけれど」
「あと帝塚山とかね」
「そうした場所だとね」
「やっぱりそれなりの身なりじゃないとね」
「場違いになるけれど」
 俗に高級住宅街と呼ばれる場所はというのだ。
「それでもね」
「大阪だとなのね」
「飾らない街だから」
 街全体のカラーがというのだ。
「それでね」
「こうしたファッションで大抵の場所行けるわね」
「それで道頓堀とか鶴橋とか行ってもね」
「いけるわね」
「都島でも天下茶屋でも此花でもだよ」
 こうした場所もというのだ。
「大阪城でもね」
「当然ドームもよね」
「京セラドームだってね」
「そうよね」
「大阪そこがいいんだよね」
 古田は笑ってこうも言った。
「飾らないね」
「そうしたところが」
「凄くね、飾ってお高くとまるのは」
 それはというと。
「京都よね」
「あの街だよ」
 まさにとだ、古田も答えた。
「あそこはね」
「そうした街よね」
「美味しいもの食べたいなら」
 京都で実際に言われることも言った。
「お金出せってね」
「一見さんお断りのね」
「そうしたお店でないとね」
「駄目だって言われるし」
「もう服だってね」
「着倒れだよ」 
 大阪は食い倒れ神戸は履き倒れと呼ばれる、大阪は食文化で神戸は靴で京都は服ということである。 
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