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神々の塔

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第二十七話 姿が変わりその八

「それで特にソーセージがやねん」
「好きで」
「今度食べたいわ」
 酒のつまみにというのだ。
「そうしたいわ」
「そうなのね」
「そやから今度の神霊さん達との戦に勝ったら」
 その時はというのだ。
「ソーセージ食べような」
「ええな」  
 リーは綾乃の提案に笑顔で応えた。
「ビールと一緒にな」
「そやね」
「私もソーセージ好きやしな」
 リーもというのだ。
「中華のそれもな」
「中華料理にもソーセージとかあったね」
「ハムとかな」
「そやったね」
「そっちも好きやしな」
「欧州の方のもやね」
「好きや、ただな」
 ここでリーはこんなことを言った。
「日本にソーセージとか入ったんは維新の時やないな」
「一次大戦の時らしいね」
 綾乃もそれはと答えた。
「どうも」
「ドイツ軍の捕虜の人達から広まったな」
「そうらしいねん」
「維新の時やなくて」
「それから後やね」
「森鴎外さんは伝えんかったか」
 彼がドイツに留学したことから言った。
「あの人は」
「医学とか文学は伝えてくれたけど」
「お料理はかいな」
「そんなん発想すらなかったと思うで」
 森鴎外、本名森林太郎という彼はというのだ。
「もうドイツで医学を学ぶのに必死で」
「あと恋愛にか」
 リーは彼のこのことも話した。
「舞姫の」
「ああ、そのことやね」
「まあ結婚出来んかったらしいが」
「そうやねん、あの人の立場もあって」
「それでやな」
「まあ兎に角」 
 綾乃はさらに話した。
「あの人はソーセージは伝えんかってん」
「それでドイツ料理もやな」
「伝えんかってん」
「そやねんな」
「それで暫く日本人ソーセージ知らんで」
 その料理の存在すら殆どの日本人は知らなかった、今の様に誰もが知っているものでは到底なかったのだ。
「ほんま一次大戦が起こって」
「ドイツ軍の捕虜の人達からな」
「作ってるの見て教わって」
「知ったんやな」
「そやねん、それでおつまみで食べると」
 酒の肴にというのだ。
「めっちゃええさかい」
「今度の戦に勝ったらやな」
「もうどんどん食べて」 
 そのソーセージをというのだ。
「飲むで」
「そういえばケルトってアイルランドやったな」 
 中里はメルヴィルの言ったことを思い出しつつ言った。
「あそこって食文化めっちゃ酷かったな」
「イギリス以上にな」
 シェリルが答えた。 
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