仮面ライダーAP
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孤島編 悪魔の鉄人と気高き処女姫 第3話
前書き
◆今話の登場ライダー
◆アレクサンダー・アイアンザック/仮面ライダーSPR-30ミサイルスパルタン
北欧某国の陸軍中将であり、かつては陸軍最強の精鋭特殊部隊「マルコシアン隊」を配下に置いていた人物。現在は絶海の孤島である海上要塞「シャドーフォートレス島」に左遷されており、自身の野望のために密かにノバシェードと繋がっていた。仮面ライダーのシルエットを想起させる試作強化外骨格を着用しており、銅色の仮面と白銀のボディが特徴となっている。当時の年齢は56歳。
「はぁ、んはぁっ、はぁあっ、はぁっ……!」
――戦闘開始から、どれほどの時間が流れただろうか。夜空を照らしていた戦火が燃え尽き、激しい戦闘行為による黒煙ばかりが立ち昇る中、全ての戦闘員達を「射殺」したヘレンはスコーピオンの銃口を下ろし、淫らに息を荒げていた。
「はぁっ、はっ、はぁあっ、んはぁあ……!」
上下に動く肩の動きに応じてJカップの爆乳がぶるんぶるんと揺れ動き、スーツの内側で熟成された汗の匂いが仮面の隙間から漏れ出て来る。白銀の仮面の下では、絶世の美女が白い頬を桃色に上気させていた。
(……せめて、安らかに眠りなさい。もう2度と、こんなことに手を貸さなくても良いように……)
増援の足音は聞こえて来ない。銃声も爆音も途絶え、島中から向けられていた殺気も消えた。どうやら、この島に居たノバシェードの戦闘員達はほぼ全滅してしまったようだ。悪に堕ちるしかなかった陸軍兵士達の無念を憂い、ヘレンは息を荒げながらも鎮魂の祈りを込め、片膝を着いている。
「自ら手を下しておいて善人気取りか? 対策室の手先」
「……ッ!?」
するとその時、低くくぐもった男の声が響いて来る。咄嗟にその声に反応したヘレンは爆乳と巨尻をぶるんっと揺らして素早く立ち上がり、振り向きざまにスコーピオンを構えた。
彼女が銃口を向けた先で佇んでいたのは――物々しい装甲服に身を包んだ、初老の巨漢。要塞内部の入り口前に立ち、銅色の鉄仮面を小脇に抱えている、2m近い屈強な大男だった。その身に纏っている漆黒のマントが、彼の威圧感をより高めている。
「あなたは……!」
「どうやって我々の存在に勘付いたのは知らんが……量産試作型如きでこの島を壊滅に追いやるとは、さすがは対策室の若きエース……と言ったところか? 特務捜査官殿」
老齢であることを感じさせる口周りの白髭に対して、その筋骨逞しい体躯はヒグマのようであり、精強な軍人としての覇気に満ち溢れている。その身に纏っている白銀の外骨格も、彼の巨躯に相応しい荘厳さを感じさせていた。
「……この島の兵士達全員がノバシェードに与していた。ということはやはり、あなたが黒幕だったのね……! シャドーフォートレス島司令官、アレクサンダー・アイアンザック中将ッ!」
スコーピオンの銃口を向けながら、仮面の下で険しい表情を浮かべるヘレン。そんな彼女の「推理」を認めるかのように――初老の巨漢こと、アレクサンダー・アイアンザック中将は不敵な笑みを露わにする。
約11年前の2009年。この某国を襲った旧シェードの怪人軍団を退け、救国の英雄となった「マルコシアン隊」。
その部隊を指揮する司令官だった彼は現在、このシャドーフォートレス島に「左遷」されていたのだ。隊長であるジークフリート・マルコシアン大佐を除く部隊の全滅。その責任を問われた彼も、ここに「島流し」にされていたのである。
アイアンザック自身は改造被験者ではないのだが、ノバシェードに与するには十分過ぎる恨みを抱えていたのだろう。祖国のために尽力した結果がこの仕打ちとあらば、世界を恨むのも当然と言える。近しい境遇を抱えてこの島に来た部下達に感化され、ノバシェードに参加することも、彼なりには必然だったのかも知れない。
「……その通りだ。奴らの資金援助で、私はあの計画を復活させるための足掛かりを得た。そして私の計画は、奴らにとっての絶大な戦力となる。良きビジネスパートナーなのだよ、奴らは」
「あの計画……!?」
何らかの「含み」を持たせた台詞を吐き、ヘレンを困惑させるアイアンザック。彼が銅色の鉄仮面を被り、マスク上部と顎部装甲を手動でガシャンと閉鎖した瞬間、大きく丸い二つの複眼が赤く発光する。
「……!? その姿は……!」
頭部から伸びる2本のアンテナに、丸い複眼状のツインアイ。そして、バッタの口元を想起させる顎部装甲。
全体的な印象こそ、荘厳かつ禍々しい怪人のそれであったが――鉄仮面のデザインはまさしく、「仮面ライダー」を想起させるものとなっていた。
(「SPR-30」……? 型式番号のようだけれど、一体何の……?)
その異様な外骨格の外観に、ヘレンは仮面の下で瞠目する。胸部装甲に記載された「SPR-30」という型式番号も気掛かりだ。
どことなく仮面ライダーGを彷彿とさせる顔付きでありつつも、全身に打ち付けられたリベットや直線的な各部のラインからは、「無理矢理似せて造られた偽物」という印象を受ける。腰部のベルトはエネルギータンクの役割を担っているのか、時折怪しげな電光を放っていた。
「お前が何かを知る必要はない。お前が知るべきなのは……ここで死ぬという己の運命、ただそれのみだ」
だが、アイアンザックはその詳細を語ろうとはしない。彼がヘレンの抹殺を宣言する瞬間、その腰部のベルトから蒼い電光が迸る。
彼が纏う白銀の外骨格が、「戦闘体勢」に移行したのだ。最大限の勢いで稼働し始めたベルト型のエネルギータンクが、猛烈な電光を放っていた。
その凄まじい放電が、ベルトのバックル部分から弾け飛んだ直後――激しい電撃によって着火された黒マントが瞬く間に炎に包まれ、アイアンザックの外骨格を容赦なく飲み込んで行く。だが、その重厚な鎧は猛火に包まれてもなお、白銀の輝きを保ち続けていた。
「闖入者よ……このシャドーフォートレス島の土となるが良い」
「うっ……!」
やがて彼は、己を覆っていた陽炎を突き破るように歩み出して来る。ズシン、ズシンと響き渡る足音。地面に走る亀裂。ベルトのバックルから迸る電光を纏い、炎を掻き分け、大地を踏み締める白銀の鉄人。その圧倒的な重厚感と荘厳な迫力に、ヘレンはスコーピオンを構えながらも仮面の下で冷や汗をかき、思わず後退りしてしまう。その僅かな「怯み」を、アイアンザックは見逃さない。
「ぬぅんッ!」
彼は消し炭と化して行く黒マントを破り捨てながら、一気に地を蹴ってヘレンに襲い掛かって行く。勢いよく振るわれた白銀の剛腕が、ヘレンの首を狙っていた。その巨躯からは想像もつかないスピードで迫る腕は、空を裂く轟音を響かせている。
「……はぁッ!」
その初撃を咄嗟にかわしたヘレンは大きく跳び上がり、空中からスコーピオンを連射した。フルオート射撃の反動で、超弩級の爆乳と巨尻がぶるるんっと揺れる。
頭上からの銃撃を浴びせられたアイアンザックは、片腕でその弾雨を難なく振り払っていた。外観に違わぬ圧倒的な防御力を目の当たりにしたヘレンは、くびれた腰を捻って華麗に着地しながらも、焦燥の汗をかいていた。その滴がボディスーツの内側に染み込み、淫らな匂いをより濃厚に熟成させて行く。
「その程度が限界か!? 対策室ッ!」
「……ッ! まさか、そんな新型外骨格まで用意していたなんて……!」
「新型……? ハッ、馬鹿を言うな! これは『骨董品』だ、お前達の装備に比べればな!」
「なんですって……!?」
初めて目の当たりにした外骨格を「新型」と呼んだヘレンの言葉を否定する、「骨董品」というアイアンザックの発言。その言葉に驚くヘレンの眼前に、アイアンザックの剛腕が再び迫って来た。
「むぅんッ!」
「……はぁッ!」
照準は間に合わない。咄嗟にそう判断したヘレンは後方倒立回転跳びの要領で、爆乳と巨尻をぷるるんっと弾ませながら弓なりに仰け反り、ラリアットを回避する。そして回転の際に振り上げた長い美脚で、アイアンザックの下顎を勢いよく蹴り上げたのだが――銅色の鉄仮面には、傷一つ入っていない。
「……ッ!?」
「ふん、今の蹴りは攻撃のつもりだったのか? やはりその強化服……機動性と引き換えに、少々軽くし過ぎてしまっているようだな」
堅牢で無骨なアイアンザックの外骨格に対して、極限まで装甲を削っているヘレンの軽装型はあまりにも「軽い」。その特性が裏目に出てしまったのか、アイアンザックには全く効いている気配が無かった。
「くっ……それなら、これはどうかしらっ!?」
だが、相性の良し悪しだけで勝負が全て決まるわけではない。そんな師匠の教えを胸に地を蹴り、爆乳と巨尻をばるんっと揺らして跳び上がったヘレンは、先ほど戦闘員を昏倒させた「幸せ投げ」を仕掛けようとしていた。空中に跳びながら、両脚を大胆にがぱっと開いた彼女は、アイアンザックの頭を太腿と股間でむにゅりと挟み込んでしまう。
「これで終わりよッ――!」
銅色の鉄仮面がむっちりとした太腿によって固定され、アイアンザックの視界がヘレンの股間で封じられた。そのままくびれた腰を大きく捻ったヘレンは、一気にアイアンザックの身体をフランケンシュタイナーの要領で投げ飛ばそうとする。
「――えっ!?」
だが。アイアンザックの頭を挟み込んだまま身体を大きく傾けたヘレンは、それ以上動けなくなっていた。なんと彼はヘレンの太腿で頭を挟まれたまま、脚力と首の筋肉、そして体幹だけで耐え抜いていたのである。
「……こんな児戯で私を倒せるとでも思ったのか? 随分と甘く見られたものだ。一つ言い忘れていたが……『救国の英雄』と言われているジークフリート・マルコシアンは、この私が直々に鍛え上げた『弟子』なのだよ。奴にあらゆる戦闘技術を叩き込んでいたこの私に、小娘如きの技など通用せん」
ヘレンの投げを耐え、踏ん張っているアイアンザックの片足。その足元からはミシミシと亀裂が走っており、彼の外骨格が誇る並々ならぬ馬力を物語っている。全体重を乗せたヘレン渾身の「幸せ投げ」は、アイアンザックの力技で阻止されてしまったのだ。
「そ、そんなっ……!」
「……だが。『軽さ』が売りの強化服にしては、なかなかの威力だな。私と、この『スパルタン』でなければ耐えられなかっただろう」
「うっ……!?」
アイアンザックの外骨格――「スパルタン」の並外れたパワーに慄く暇もなく。ヘレンの肉厚たっぷりな太腿が、彼の両手でガッチリと掴まれてしまう。今度は逆に、彼女の方が逃げられなくなっていた。
「良いものを見せてくれた、せめてもの礼だ。苦しむ暇もなく……楽に殺してやる」
「えっ……ちょっ、待ちなさっ、きゃあぁあぁあっ!?」
そのまま逆にヘレンの身体を持ち上げたアイアンザックは――彼女の股間に鉄仮面を埋めたまま、パワーボムの要領で彼女の後頭部を地面に叩き付けてしまうのだった。
あまりの衝撃に、その着地点から亀裂が走る。大地を砕く轟音が、この一帯に響き渡る。
「……あ、がっ……!」
絶大な破壊力によって仮面を破壊され、金髪のショートヘアと青い瞳を持つヘレンの美貌が露わになる。仮面を失ったことにより、彼女の汗ばむ肉体から滲み出る甘いフェロモンも、外に漏れ始めていた。未だに男を知らない処女でありながら、その肢体から漂う淫靡な色香は最高級の娼婦すら遥かに凌いでいる。
「あっ、ががっ……!」
驚愕の表情を浮かべたままぷるぷると痙攣している彼女は、大股をがぱっと下品に開いた「でんぐり返し」の体勢のまま、しばらく身動きが取れなくなっていた。夜空に向かってぶるんっと突き出されている安産型の巨尻も、ヒクヒクと小刻みに震えている。
「はっ……はへっ……!」
ぷっくりとした唇を大きく開き、犬のようにだらしなく舌を突き出している彼女の貌は、汗に塗れて淫らに上気していた。口元に張り付いたブロンドの髪先も、その淫靡な表情に彩りを添えている。
まるで――圧倒的な「雄」の膂力に組み敷かれ、屈服させられた「雌」のようであった。何人でも産める極上の巨尻を、アイアンザックに向けて無防備に突き上げているヘレンの姿は、「完全敗北」を宣言した雌そのものだったのである。
「はぁあ、ぉ、おおっ……!」
恥辱に塗れた無様な格好だが、今の彼女は自分の姿勢すら正しく認識出来なくなっていた。何しろ並のマス・ライダー装着員ならば、確実に首の骨が折れて即死しているところなのだ。
ましてや防御力を犠牲にしている軽装型の装着員では、到底耐えられるはずがない。アイアンザックの宣言通り、本来なら仮面ごと頭部を粉砕され、苦しむ暇もなく即死していた場面なのである。
「……ふむ」
しかしヘレンは無意識のうちに最適な「受け身」を取っていたのか、痙攣はしていても骨折すらしていなかった。パワーボムの威力に悶絶しているということは、その程度の「余力」は残していることも意味している。
「あはぅっ……!」
「でんぐり返し」の姿勢から足を下ろして仰向けの状態になった彼女は、まだ辛うじて意識を保っている。その並外れたタフネスと運の強さには、殺すつもりでパワーボムを繰り出していたアイアンザックも密かに感嘆していた。
「……? この小娘の顔、眼と髪の色……。まさかお前は……」
「あっ、ぐ……うっ……!」
「いや……そんなはずはないな。それにしても、今の一撃で完全に仕留めたつもりだったのだが……装甲を削ぎ落とした軽装型の割には、随分としぶといではないか。だが……それも終わりだ」
だが、乳房と桃尻を揺らして倒れ込んだ彼女に対する慈悲など、アイアンザックは一欠片も持ち合わせていない。露わになったヘレンの美貌にどこか「引っ掛かるもの」を感じながらも、彼は躊躇う素振りもなく、仰向けに倒れて苦悶の表情を浮かべている彼女の頭を踏み潰そうとしていた。
「ぬッ……!? 何者だッ!」
「……よう、待たせたな」
だが、次の瞬間。真横から襲い掛かって来た「殺気」に反応したアイアンザックは、咄嗟にその場から飛び退いてしまう。ヘレンの窮地に駆け付けて来た「真紅の騎士」――仮面ライダーオルバスが、このシャドーフォートレス島に馳せ参じたのだ。
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