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仮面ライダーカブト 明日のその先へ

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第二十一章

「人間もネイティブも心は変わらない」
「田所さんがそうだね」
「そしてあいつの妹も」
 ひよりのことだった。矢車は彼女のことも聞いていたのだ。
「人間だ。心がそうであるならな」
「人間なんだ。田所さんも彼女も」
「俺はわかった。人間はどんな姿でも心さえ確かなら人間だ」
「そうだね」
 影山は矢車のその言葉に頷いた。彼もわかってきたのだ。
「そして田所さんもあの娘もその心に光を見ている」
「光を」
「絶望の中からもな。光を見ていた」
「じゃあ俺達も」
 影山はここで顔を上げた。
「光を」
「そうだ。白夜を見たな」
「うん」
 北欧から日本に向かう時にそれを見た。そしてその光とは。
「俺達の光はそれだ。それを完全に俺達のものにする為に」
「行こう、兄貴」
 影山が言った。
「光を掴みに」
「そうだ・・・・・・むっ」
 ここで携帯が鳴った。加賀美からだった。
「わかった。今すぐ行く」
「加賀美かい?」
「そうだ。サルに来て欲しいそうだ」
「戦いのことかな」
 すぐにそう考えた。その考えは当たっていた。
「おそらくな。じゃあ行くぞ」
「そうだね。光を俺達のものにする為に」
「俺達だけの光をな」
 二人もまたそのしがらみを解き戦いに向かおうとしていた。彼等の絆もまた光であった。その光によりまた戦いに向かおうとしていたのであった。

 サルは貸切になっていた。そこにゼクトとボードのライダー達及びその関係者達が集まっていた。かなり大所帯で話が行われていた。
「一体どうしたんだ」
 ひよりが店に戻って来た天道に問う。既に話がはじまっていた。食べ物は彼女と爺が作っていた。彼女はその合間に彼に声をかけてきたのだ。
「こんなに大勢」
「大事な話なんだよ」 
 加賀美が彼女に答える。
「それでな。いまん」
「まあ一杯食べてくれてるからいいけれどな」
 彼女は売り上げがいいのでまずはそれをよしとした。
「それにしても」
 それでもぼやくのであった。
「皆よく食べる。特にほら」
 橘を指差した。
「あの人とあの人」
 同時に剣崎も。
「どれだけ食べてるんよ」
「そういえばそうだな」
 加賀美も話を振られて二人を見てみると納得した。二人共ガツガツとした調子で食べていっている。全く味わっているようには見えない。
「何か特別に」
「あっちの人は静かだな」
 相川は静かに食べている。上城は普通で志村がやけに周りに気を配っている。禍木はウェイター出身を思わせる軽やかな身なりで三輪は無愛想な顔で食べている。それぞれ個性がはっきりと出ていた。見れば三輪は栞、岬達と共にいる。女は女で固まっているようであった。
 ゼクトのライダー達は田所が三人を従えていた。風間と矢車、影山はそれぞれ固まって端にいて黙っている。神代は爺やと一緒にいる。結構分かれている感じだった。天道が彼等に対して色々と話をしていた。それはワームとネイティブに関するものであった。それはゼクトにとては知っているものもあれば知らないものもあった。そこは微妙であったが真理は語られていた。
「成程な」
 相川が天道の話を聞いて声をあげてきた。
「あの首領らしい」
「首領については御前達の方が知っているみたいだな」
「そうかも知れない」
 相川は天道に対して答えた。
「少なくともモノリスを司っていた統制者は剣崎が倒した。その統制者こそ」
「アークオルフェノクであり統制者でありキュリオスである」
「そういうことになるな」
 風間は一人腕を組んでいた。その中で述べてきた。
「昔から人間に対して罠を張ってきたか」
「となるとショッカーの頃からになる」
 田所の言葉は恐ろしい事実になっていた。首領はショッカーを操っていた頃にもうネイティブという存在を置いていたのだ。そのうえでグロンギを復活させて渋谷に隕石を落とし、オルフェノクの活動が活発化しアンデッドを復活させたのだ。全ては首領の思惑であった。その中でライダーバトルがあり魔化魅との戦いもあった。鏡の世界のモンスターがあそこまで活発化していたのもおかしいと言えばおかしいのだ。そこにも首領の影があるのでは、そうも考えられる。アギトはオルフェノクと表裏一体である。やはり謎が微妙に合わさる。合わさっていないのは魔化魅だけではないかとさえ思える程だった。首領はあらゆる組織を操りながらそれぞれ罠を張り続けていたのだ。ライダー達は今その恐るべき真実を知った。
 
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