八条学園騒動記
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第七百八話 連合の狼その二
「弥生時代からな」
「農耕民族となり」
「それでだ」
そのうえでというのだ。
「それからだ」
「狼をですね」
「有り難いと思う様になった」
「偉大な神とまで」
「農耕、田畑を持っているとな」
そうなればというのだ。
「どうしてもそこを荒らす獣が問題だ」
「それはありますね」
「それでだ」
「そうした獣を食べてくれる狼がですね」
「有り難い存在になってな」
そうしてというのだ。
「日本ではそこまで思われていた」
「そうでしたか」
「それで今もな」
この時代でもというのだ。
「日本人は特にだ」
「狼についてそう思っていますか」
「日本の童話も読んできたな」
「はい」
上等兵はまた答えた。
「連合各国の童話も読み」
「日本の童話もだったな」
「童話は子供が読み」
上等兵はさらに言った。
「まさにその国のです」
「教育の根幹の一つになりな」
「モラル、思考のです」
「源泉ともなる」
「そうしたものですね」
「だからだ」
そうしたものであるからだというのだ。
「我々もな」
「連合の童話を読みますね」
「エウロパの童話では狼は主な悪役だ」
「悪魔と並んで」
「だがな」
それがというのだ。
「連合ではだ」
「狼は悪役にはあまりなっていません」
「鬼だの夜盗だのな」
「あと海賊ですね」
「そうしたものが悪役になりな」
尚海賊は主人公側になったりもしている、悪者であるがそこにヒロイズムも見られてそうなっているのだ。
「狼はな」
「あまり、ですね」
「なっていない、悪魔もな」
「連合でもキリスト教は多いですが」
「相対的に考えられている」
「神とは別の正義ですね」
「悪魔は何故悪か」
大尉はキリスト教の根本的な考えを話した。
「それは神に逆らうからだ」
「神が正義、それも絶対のですね」
「その前提がないとだ」
さもないと、というのだ。
「悪魔が悪とはな」
「ならないですね」
「その後で悪魔が悪事を為すとな」
その様にというのだ。
「物語が創作されてだ」
「悪魔は悪い存在となりましたね」
「そうなった、だがな」
「連合ではですね」
「悪魔の実態もな」
これもというのだ。
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