京都の旅館での再会
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第二章
「この旅館に泊まってるの」
「一緒だな」
「そうよね、けれどまさかこんなところで会うなんてね」
微笑んでだ、円谷は大野に言った。
「思わなかったわね」
「そうだな、大学は同じ学部で同じサークルでな」
「同じゼミでね」
「よく一緒だったけれどな」
「お互い就職してね」
「去年の同窓会で会ったけれどな」
大野も笑って言った。
「まさかここでな」
「会うなんてね、これも縁でお互い務めてる会社知ってるし」
円谷は今度はこんなことを言ってきた。
「メアドやり取りする?ラインも交換して」
「いいな、それじゃあな」
「思わぬ再会だしね」
「また連絡取り合うか」
「そうしていこう」
笑顔で話した、そしてだった。
二人共それぞれのスマートフォンを出してそれでメールアドレスヤラインの番号を交換した、そうしてだった。
旅館ではお互い仕事ではどうか軽く話した、その後で。
お互いそれぞれの部屋に戻った、その時はそれで終わったが。
二人のやり取りは続きそれが交際にまで発展した。それで二人はそこから結婚を前提とした同棲にまで至ったが。
大野は同棲しているマンションの中で円谷に言った。
「まさか京都で会ってな」
「偶然再会してね」
「そこからこうなるなんてな」
「思わなかったわね」
「そうだよな、人間の出会いってな」
しみじみとした口調でだ、大野は言った。
「こうしたこともあるんだな」
「奇跡みたいなね」
「そうだよな、けれどな」
それでもとだ、大野はラフな部屋着姿でいる円谷を前にしつつ微笑んで言った。
「それでこうなるんだからな」
「どうなの?」
「いいな、そんな出会いなら」
「そう言うのね」
「ああ、じゃあこれからもな」
「一緒にね」
円谷も笑顔で応えた、そうしてだった。
二人で夕食を食べた、円谷が作ったそれはとても美味しく二人はこの時も笑顔になった。京都での驚きの再会は今はそうなっていた。
京都の旅館での再会 完
2023・7・19
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