おぢばにおかえり
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第七十五話 天下茶屋その十九
「凄くいい人達だから」
「それでなんですね」
「嫌わないでね」
「向かい合うことですね」
「そうしてね、それで食べ終わったらね」
「いよいよです」
新一君は嬉しそうに言いました。
「大叔母さん達紹介させてもらいます」
「宜しくね」
「こちらこそ」
二人でこうしたお話をしてカレーを食べ終わりますと。
私は新一君に商店街のすぐ傍にあるお家の前に案内してもらいました、お庭のない一軒家でしたが。
その前で新一君は私に言いました。
「ここがです」
「大叔母さんのお家なのね」
「前は別の場所の借家だったんです」
「そこに住んでおられたのね」
「もう戦争前からある古い狭いお家で」
新一君は笑ってお話してくれました。
「建っているのが奇跡みたいな」
「そんなお家だったの」
「そこに六十年位住んでたみたいですね、十人位で」
「そうだったのね」
「十人で驚かないんですね」
「おみちの教会は子供さん多いお家がね」
それこそです。
「普通だから」
「そうでしたね」
「だからね」
それで、です。
「そう言われてもね」
「驚かれないですか」
「どんなお家か知らないけれど」
十人位の家族ならです。
「おみちでは結構あるから」
「そういえばお子さん七人も八人もっていう教会ありますね」
「主任先生も六人息子さんがおられるのよ」
六人のお子さんがどなたも息子さんです。
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