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傷付いた犬達を幸せに

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第二章

「ワンワン!」
「元気で幸せそうだな」
「ええ、貴方が助けてくれたから」
 一緒にいるダニエルも言ってきた。
「この通りね」
「それは何よりだよ」
 スカウトは自分に飛びついて嬉しそうに尻尾を振るデニスの頭を撫でつつダニエルに応えた。そして元気な彼の姿に目を細めるのだった。
 この話をネットで読んだ南アフリカケープタウンで動物保護施設を経営しているモヨ=ンドクワナアフリカ系の初老の小柄な女性はスタッフの一人ジェーン=エバーツ若いアフリカ系ですらりとした長身の彼女にこの話をしてだった。
 そうしてだ、こんなことを言ったのだった。
「リオもね」
「そうですね、怪我をして」
「保護したからね」
「その子と同じですね」
「リオは自分から施設に来たけれど」
 そうして助けを求めてきたというのだ。
「随分頭のいい子で」
「そうですね」
「それでね」
 ンドクワナはさらに話した。
「今度里親の人に迎えてもらうけれど」
「リオもですね」
「是非ね」
 まさにというのだ。
「幸せにね」
「なってもらいますね」
「ええ、絶対にね」
 こう言うのだった。
「そうなってもらうわ」
「その子と同じく」
「いい里親さんだから」
 今度家族に迎える人はというのだ。
「リオは殴られたんじゃなくて噛み傷だけれど」
「傷の中身は違いますね」
「人見知りになっていることは同じだけれどね」
「怪我の内容は違いますね」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「是非ね」
「幸せになってもらいますね」
「ええ、リオもいいわね」
 黒と白の雄のピットブル、リオに顔を向けて彼にも声をかけた。
「いいわね」
「ワン」
 リオは一声鳴いて応えた、そうしてだった。
 二人はその彼を家族になってくれる人達のところに連れて行った、そして後日彼が幸せに暮らしていると聞いてあらためて笑顔になった。


傷付いた犬達を幸せに   完


                  2023・7・16 
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