新オズのリンキティンク
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第七幕その十二
「それでや」
「東京にはか」
「正直住むことはな」
「なかったですか」
「何度も行ったことはあるけど」
それでもというのです。
「やっぱり住むんやったら」
「大阪でしたか」
「そや」
笑顔での返事でした。
「他はないわ」
「そこまで大阪がお好きで」
「ずっとおってな」
「今はこの街で、ですか」
「楽しく暮らしてるわ、ただな」
「ただ?」
「今も歴史小説を書いてるけど」
それでもとです、司馬さんはナターシャにお話しました。
「オズの国の歴史になってな」
「オズの国の雰囲気のですか」
「そうした作品になってるわ」
「今はそうなんですね」
「外の世界におった時と作風がな」
これがというのです。
「随分変わったかもな」
「同じ歴史小説でもですね」
「こっちは戦争とかないさかいな」
だからだというのです。
「僕の作品は戦争もよお出たけど」
「それがなくて」
「平和でのどかでそれでいて」
「楽しいですね」
「そや、そうした作品になってるわ」
こうお話するのでした。
「これがな」
「世界が違うと同じ歴史小説でもですね」
「作風が変わるわ」
「そうしたものなんですね」
「そや、けど今もええわ」
司馬さんは蟹を食べつつ明るく言いました。
「こうした歴史小説あるんや」
「戦争がなくて明るく楽しい」
「そうしたな、秀吉さん達ともよお会うし」
「そうしたことでもですね」
「ええわ、この国は」
「ほんまや、こんなええ国は他には一つしかないわ」
西鶴さんは蟹鍋に舌鼓を打ちつつ言いました。
「大坂以外にな」
「大坂と同じ位ええですな」
「ほんまにな」
司馬さんに笑って応えます。
「もうずっとな」
「ここにおられるさかい」
「わし等最高に幸せや」
「それはよいことじゃ、では共に楽しもうぞ」
リンキティンク王もそれならと応えました。
「存分にな」
「そうしてこな」
「皆でのう」
司馬さんに明るく応えてでした。
皆で楽しく飲んで食べました、この街は蟹料理も最高でした。
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