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八条学園騒動記

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第七百六話 スポーツの施設もその十

「何と言ってもな」
「だからですね」
「それはあってはならない、職務質問されないことが第一だが」
「若しされても」
「演じ切ることだ」
「市民として」
「演技力も必要だ」
 工作員にはというのだ、少なくとも素性を明かす様なことではこの仕事をしている者として失格だというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「決してな」
 まさにというのだ。
「それはしないことだ」
「警官と衝突することは」
「市民としてな」
「今はですね」
「生きることだ、いざとなれば」
「神父の証がですね」
「ある」
 それがというのだ。
「しかもだ」
「バチカンの公式に認めた身分証明があります」
 実際にある枢機卿が出してくれたものだ、エウロパの工作員に協力しているエウロパから連合にバチカン移転と共に入った人物である。
「これを出せば」
「警官なら」
「見ただけで、ですね」
「怪しむことはない」
「左様ですね」
「神父となれば」
 その立場となればというのだ。
「誰もだ」
「疑わないですね」
「この国はキリスト教徒は少ない」
 この時代でも日本のキリスト教徒の割合は人口の一パーセント程でしかない。
「しかしな」
「神父とその助手となれば」
「それでだ」
「誰もが頷いてくれますね」
「極めて治外法権的な」
 そうしたというのだ。
「立場だ」
「左様ですね」
「だからな」
 それ故にと言うのだった。
「私達はな」
「いざとなればですね」
「神父であるとな」 
 身分証明を出してもというのだ。
「追及をかわすぞ」
「そうしますね」
「確かに神父であることには違和感がある」
 信仰しているキリスト教はプロテスタントの一派だからだ、大尉は言った。
「だがな」
「神父であること自体はですね」
「非常にな」
「有り難いことですね」
「それだけで頭上を隠せ」
 そしてというのだ。
「情報収集もな」
「容易ですね」
「思えば宗派は違うが」
「信じる神は同じですね」
「連合ではそう考えられているしな」 
 実際にそうなっている、キリスト教でも連合では宗派ごとの違いはさして問題とは考えられていない。 
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