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神々の塔

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第二十五話 天使達の光その十一

「今我は塔を踏破と言ったが」
「日本語やと駄洒落になりますね」
 芥川が笑って応えた。
「そうですね」
「お笑いは嫌いではないが」
 それでもというのだった。
「我々は起きた世界では本来ヘブライ語かラテン語だ」
「それで喋ってますか」
「諸君等の脳内でそれぞれの言語に変換されているのだ」
 天使達の言葉はというのだ。
「そうなっているからな」
「駄洒落を言ったつもりはないんですね」
「この世界ではこの世界の言語を使っているしな」
 このことも話すのだった。
「だからな」
「それで、ですね」
「このことは了承してもらいたい」
「わかりました」
「そういうことでな」
 天使は芥川に真面目な顔で述べた。
「納得して欲しい」
「わかりました」
 芥川も頷いた、そしてだった。
 一行は今は天使達と別れ宿屋に戻った、そこで体力と気力を回復させかつ入浴と食事も楽しんでだった。
 また出発した、そこでだった。
 綾乃は天使達に見送られてからだ、こんなことを言った。
「そういえば起きた世界での天使さん達の言葉って」
「それな」
 中里が応えた。
「考えてみたらな」
「元々ヘブライやし」
「ヘブライ語かな」
「キリスト教やとラテン語やし」
「教会の言葉そうやしな」
「それやと使う言葉も」
 これもというのだ。
「そうなるね」
「旧約聖書、ユダヤ教やとヘブライ語でな」
「新約聖書、キリスト教やとラテン語やね」
「それぞれそうなるわ」
「そやね」
「起きた世界やとな」
 天使達が用いている言語はというのだ。
「これは魔王の方々もやな」
「同じキリスト教やし」
「そうなるわ」
「そやね」
「こうしたことを理解することもな」
「おもろいね」
「ああ、そこまで考えたことなかったわ」
 芥川は天使達との会話を思い出しつつ述べた。
「僕も」
「中々考えの及ばんことやろか」
「そうかもな」
「けどそうしたことも考えたら」
「おもろいな」
「そやね」 
 こうした話もするのだった、そうして彼等はさらに先にと進んでいった。塔をさらに上に登っていくのだった。


第二十五話   完


                    2023・5・8 
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