ハッピークローバー
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第八十五話 兄に言われてその五
「お豆腐もサラダもな」
「そうしたもの食べたらいいのね」
「お刺身だってな」
「案外冷たくても身体にいいの多いのね」
「そうだぞ、覚えておくんだぞ」
「わかったわ、工夫ってことね」
留奈は兄の話をここまで聞いて言った。
「そういうことね」
「そうだ、あとな」
「あと?」
「お酒は飲んでもな」
こちらの話もするのだった。
「飲み過ぎないことだ」
「それが大事ね」
「飲み過ぎると身体に悪いからな」
「それは言われるわね」
「ああ、あとこれは二十歳になってからだけれどな」
こう前置きして言うのだった。
「八条町でもこの団地でもな」
「ああ、煙草ね」
留奈は兄の言いたいことを察して応えた。
「あれはね」
「本当に身体に悪いからな」
だからだというのだ。
「絶対にだ」
「吸わないことね」
「そうだ、俺も吸ってないしな」
「やっぱり健康を考えたら」
「煙草はな」
絶対にというのだ。
「吸わないことだ」
「それは夏でもよね」
「そうだ、夏でも冬でもな」
季節に関係なくというのだ。
「煙草はな」
「吸わないことね」
「ああ、勿論シンナーや麻薬なんてな」
「したら駄目ね」
「そこはわかってるな」
「勿論よ、絶対に早死にするわね」
そうしたものに手を出せばとだ、留奈も言った。
「私長生きしたし」
「筋肉だってな」
「つかないわね」
「そうだ、だからな」
それ故にというのだ。
「そうしたものにはな」
「手を出さない」
「それも大事だ」
何があってもというのだ。
「いいな」
「言うまでもないわね」
「わかってるならいい、あとお前今彼とはどうなんだ」
「彼って伊東ちゃん?」
「ちゃん付けか、親しいな」
「まあね、ただ変なことはしてないから」
留奈はこのことは強く否定した。
「安心してね」
「俺何も言ってないぞ」
兄はそもそもという顔で応えた。
「別にな」
「いや、何か言われそうだったから」
「妊娠しないといいだろ」
「滅茶苦茶ダイレクトね」
「いや、実際そうだろ」
兄の言葉は真面目なものだった。
「付き合ってもな」
「妊娠しないといいの」
「ああ、妊娠したら高校生活もな」
「満足に出来ないわね」
「妊娠した経緯次第で退学だってあるしな」
この処分もというのだ。
「だからな」
「妊娠はしない」
「それさえクリアーしてたらな」
それならというのだ。
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